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第一章
罪作りなボイス
その声を聞くとだ。
彼、泉谷紘はだ。いつも急に取り乱すのだった。
その彼を見てだ。クラスメイト達は笑いながら言う。
「だからよ。放送部だからな」
「いつも聞こえて当然だろ」
「それで何でそんなに取り乱すんだよ」
「普通にいればいいだろ」
「あ、ああ」
一応だ。紘も言葉遣いだけは冷静に返す。
しかしだ。態度は取り乱したままでだ。こう彼等に言うのだった。
「そうだよな」
「そうだよ。落ち着けって」
「別にあれだろ?香菜ちゃんのこと何でもないんだろ?」
「そうなんだろ?」
「あ、ああ」
取り乱したままでだ。答える彼だった。
そのうえでだ。左右に整えた黒髪を櫛でさらに整えてだ。
細くしている眉に手をやってから述べる。見ればだ。
高校のブレザー、ライトブルーのそれにダークブルーのズボンとネクタイ、白いブラウスの制服を上手に着こなしている。
目は涼しげであり中々整った顔をしている。その彼がだ。
こうだ。クラスメイト達に話すのだった。
「そうだよ。僕あの娘のことはどうでもさ」
「いいんだよな」
「じゃあ落ち着けって」
「そうしろって」
「落ち着いてるさ」
一応こう言う。
「それでだけれど」
「ああ、今度の放送担当は火曜らしいぜ」
「香菜ちゃん朝から入るらしいからな」
「楽しみにしてろよ」
周りはまだ笑いながらだ。紘に言う。
「しかし放送部もいい娘手に入れたよな」
「だよな。あの声でな」
「しかも可愛いし」
「性格も真面目で素直で」
「結構お似合いじゃねえ?」
「だよな」
こうだ。紘を見て笑いながら言うのだった。
「折角だからどうだよ」
「一回な。一緒にいたらどうだよ」
「少しだけでもな」
「だからどうしてそんな話になるんだよ」
顔を真っ赤にしてだ。紘はまた言う。
「全く。とんだ濡れ衣だよ」
「濡れ衣ねえ。じゃあ火曜になってもな」
「何にもないよな」
「普通にな」
「過ごせるよな」
「当たり前だろ」
一応口ではこう言う彼だった。
そしてだ。こんなことも言った。
「火曜が来ても僕は何ともないからな」
「まあな。それじゃあな」
「火曜な、火曜」
「間違っても月月火水木金金で水曜とかじゃないからな」
海軍の訓練や戦時の日時である。こうして休みをなくしていたのだ。従って海軍の火曜日は他の世界では水曜にあたるのである。
そんなことも冗談で言いながらだ。彼等は紘が火曜を迎えるのを待っていた。そしてだ。その火曜日が来てしまったのであった。
クラスメイト達が登校するとだ。教室にだ。
もう紘がいた。しかもだ。
普段より髪も整え身だしなみもいい。その
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