忘れんなよ
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
第三者side
「セシリー!!お前はここに残ってろ!!」
「え〜!?僕もシリルのために頑張れるよ〜!!」
シリルを止めるために動き出そうとしたラクサスとカミューニ。そのうちの一人、少年と同じギルドマークを刻んだ青年は、彼の相棒である茶色の猫にそう言うが、彼女はそれに反発する。
「セシリー、お前は離れてシリルに声をかけてくれないか?」
「声?」
「あぁ。付き合いの長いお前の声なら、シリルに届くかもしれねぇ」
暴走しているとは言っても、シリルのセシリーたちへと想いは変わらないはず。もしシリルに彼女の声が届き、動きに隙ができれば、今の自分たちでも彼を止めることは難しくないはず。二人はそう考え、セシリーに被害が及びにくいような指示を出していたのだった。
「わかった〜。でも、これだけ約束して〜」
「約束?」
二人の思考を感じ取ったセシリーは承諾する。そして彼は、二人に深々と頭を下げた。
「シリルを・・・元に戻して〜・・・」
目を潤ませ、そう懇願する。それを見た二人は彼女の頭を軽く撫でる。
「もちろん」
「ぜってぇ助ける。だから待ってろ!!」
「うん!!」
ラクサスとカミューニの真剣な表情に涙を拭うセシリー。彼女は言われた通りにその場から離れ、草むらの中へと隠れ、シリルに聞こえるように声を張り上げる。
「カミュ、シリルの動きはわかるのか?」
「魔力の流れで大体」
セシリーからシリルの方へと向き直った雷竜とBIG3。彼らはノーランを圧倒し続けている少年に向き直り、作戦をひねり出そうとしていた。
「俺が指示出すか?」
「無理だろ、おめぇだってんな余裕はないんじゃねぇか?」
「よくわかってんな、このやろう」
ラクサスもカミューニも他者に気を使っている余裕はない。自分が生き残れるかどうかさえ、彼らにはわからないことなのだから。
「今出せる全快の力でシリルを押さえ付ける。あとはセシリーの声でどれだけ正気に戻れるかが勝負の鍵だな」
例えMaxの力を用いても、彼らの今の状態ではシリルを抑えられないかもしれない。それでも、全力でやる以外、彼らに生きる道はない。
「死ぬなよ」
「お前もな」
ラクサスとカミューニはハイタッチすると、シリルとノーランが戦うサイドへと散っていく。
「水竜の・・・翼撃!!」
「がはっ!!」
次第に水と銀色の風の占める割合が同じくらいになってきている。それを見たカミューニは、時間がないことを再確認していた。
(おそらくあと数分・・・いや、その前にノーランが死ぬか)
完全にシリルの体を悪魔の魔法が取り込むまでの正確なリミットはわからない。しかし、ノーランがもうじき息絶えるのは、なんとなくではあるがわかっている。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ