暁 〜小説投稿サイト〜
ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第二十八話 敵の懐に飛び込みます。
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・・・今更こんなものが残っているの?」
「いや、これは少々違う。時計の針のように正確に、誤差ゼロで正確な座標地点にワープできる新たな航法の試験研究資料だ」

 ラインハルトは興味深そうにデータを見つめて考え込んでいる。当然この時代はワープ航法は確立されているが、少々の誤差は出る。コンピューター上では0,000000001という誤差でも、距離にして数十キロの誤差になってしまう。障害物回避装置、重力場感知装置等、回避プログラムがなかったら、下手をすれば隕石群に衝突したり、衛星に突っ込んだり、あるいは航行中の艦の目の前にワープアウトしたりすることになる。
 そういうわけで「ピンポイントワープ」というのは未だ全人類の夢の象徴として研究対象となっていたのだ。

「これを持って帰ろう。技術士官、回収用の端末はあるか?」

 ラインハルトは小さな端末を技術士官から受け取ると、コピーしだした。膨大なデータだったが、PCと端末の性能がいいので、わずか数秒で終わってしまう。

「他にはめぼしいものはないか?」

 ラインハルトの問いかけにベルトラムもイルーナも、技術士官も首を振った。

「何もないな。消去されたようだ。消去記録にはファイル名前が残っているが、記号暗号での表示になっていて俺では何のことかわからない」

 ベルトラムが残念そうに言った。

「私も見ましたが、残念ながらファイルの特定はできません。機密事項の重要性上、ファイルは消去と同時に意味のない記号の羅列に変換されてしまいますので」
「そうか・・・」

 ラインハルトはすぐに立ち上がった。これ以上ここにいても何もない以上、ぐずぐずして時間を浪費するわけにはいかない。

「よし、最新鋭艦のドックに案内してくれ」
「こちらです」

 技術士官の案内で、ラインハルトたちは部屋を出て薄暗いグリーンの照明のついた廊下を歩いていた。殺風景と言えるほど何もない廊下に無機質な靴音だけが響く。数十メートルも進んだだろうか、士官が突当りで立ち止まって、脇のコンソールを操作した。
 その時だった。基地内に突如赤い警報音が鳴り響いた。

「どうした?!」

 その時、ラインハルトの端末に基地通信室にいたキルヒアイスが連絡してきた。

『ラインハルト様、敵が接近してきます!』
「見つかったのか?」
『まだ距離はありますが、まっすぐにこの小惑星を目指して侵入してきます。到達まであと30分足らずです』
「わかった。手の空いている者は直ちに艦に戻り、戦闘態勢を整えて待機せよ。キルヒアイスは艦隊の指揮を執ってくれ。俺たちはこのまま新鋭艦のドッグに向かう」
『了解!』

 通信は切れた。その間にも士官はせわしなくコンソールを操作している。レッドアラートの光が一同を赤く染め、
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