第19話『会得』
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
部長と副部長の口喧嘩。もう一触即発だ。
「あぁ面倒くせ。もう一回やっか?」
「良いじゃない。リベンジマッチってことで」
ちょっとここで戦闘始めようとしてない!?
ダメだよ!? 宿崩れちゃうから!!
「弾けろ、冥雷砲」
ついに部長が指鉄砲を構えた。
すると副部長はどこから持ち出したのか、あの太刀を構える。
「ち、ちょっと部長! さすがにここでそれは・・・」
俺の声に部長は反応しない。
そして互いに一歩を踏み出した。
「「はぁっ!!」」
「ちょっと待って!!」
二人が今にも技を発動させようとした瞬間、俺は何とかして仲裁しようと思いきり右手を伸ばした。
すると・・・
ビュオオォォォ!!!
突如、部屋の中を強風が吹き荒れた。
布団や枕が宙に渦巻き、襖がガタガタと悲鳴を上げる。
その突然の事態に部長と副部長、そして部員全員が驚愕する。
二人は喧嘩を止め、辺りを見回したかと思うと、こちらを見た。
「今の・・・お前か…?」
部長の驚き混じりの声が聞こえた。
「え、えっと…」
急な進展に頭が追い付かず、ただ混乱する俺。
今のは・・・風? もしかして俺が起こしたのか?
つまり俺は今、魔術を使ったってことか?
「私もコイツも風属性は使えないし、当然他の奴にも使うことはできない」
「その中で、風属性の能力、"晴風"を使えるのはお前だけだろ?」
部長らが事細かに説明してくれる。
意味はわかったが、やはり実感がない。
確かに今のは自然の風とは思えない。あっても台風レベルの強風だった。
「俺…かもしれません…」
俺は申し訳ない気持ちで呟いた。
そりゃ部屋をこんな風にしたってのもあるし、何より危険だと思ったからだ。
本来なら喜ぶべきことだが、こんな有様では・・・。
だが、周りの反応は違った。
「おー!! ようやくか!」
「アンタの練習でできるなんて…」
「俺も早く会得しねぇと」
「すげぇな三浦!」
「風がビューって!」
「俺も使いたいな〜」
「おめでとう!」
魔術部全員が俺に称賛の言葉を浴びせる。
俺はそれを呆然と見る他なかった。
「どうした三浦、もっと喜べ!」
「いや喜べって言われても実感が…」
俺は部長の言葉に素直に返した。
今のはホントに俺が使ったみたいたが、実感が無くて無意識で発動させた、みたいな感じだった。
てか誰もこの部屋の惨状は気にしないのね…。
でもどうせなら、もう一回発動のチャンスが欲しい。
そう考えた俺はこう提案した
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ