第19話『会得』
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「えっと…」
俺は恐怖を通り越した困惑によって、コミュ障が再発した。
聞きたいことが多すぎて、頭がパンクしそうだった。
なぜ戸部さんがここに居るのか。ここはあまり人には知られてない宿ではなかったのか? あ、いや別に知られていても問題はないな。それでもどうして? 一般客としてだよな? んん?
さっぱりわからん。
「あの〜…」
「はい?!」
急に呼ばれたので、つい堅苦しく返事をしてしまう。
話したことあるって言っても1回だけだし、その時は莉奈も居たし…。ダメだ、1対1でこの子と上手く話せる自信がねぇ!
「どうしてここに居るんですか?」
お、俺の言いたいことを言ってくれた!
このまま質問に答えていくようにすれば、何とか会話になるかもしれない!
「あー…部活の合宿です」
「何の部活ですか?」
あっ、マズいぞ、この場合何て答えたらいいの!?
「魔術部です」とストレートに言っても大丈夫かな!? 引かれないかな!?
う〜ん・・・でも部活動紹介やってたから知ってるだろうし、どうせマジック部程度に見られてるだろうから・・・大丈夫かな…。
「ま、魔術部って言うんだけど…」
俺は顔を下げて言った。何か凄く恥ずかしい気分になった。
すると、戸部さんはそれに答えるよう口を開く。
「あの部活ですか。私も少し気にはなったんですけど、ちょっと怪しかったので入りませんでした。あ、ちなみに私は美術部に入ってます」
え!? まさかの興味があった!? この人不思議な人だな・・・。
でもって、美術部に入っていたのか。運動部って感じには見えないから、如何にもだな。きっと絵が上手いんだろうなぁ。俺は絵も普通なんだよなぁ…。
「へぇ〜そうなんだ」
「あ、そうだ! 私明日も居るんですけど、もし良ければ昼からこの辺のどこか遊びに行きません?」
「あ〜そうだね・・・ん!?」
俺はかなりの度合いで驚いた。
そりゃそうだろう。
だって今まで女子と遊びに行くなんて、莉奈くらいしか相手がいなかったのだから。しかもこんな可愛い子となんて、ちょっと恥ずかしい気分だ。
とはいえ、ここで断るのはさすがに気まずい。行けるなら行ってあげたいけど、何より部活がな…。
「部活次第かな…」
「わかりました、ありがとうございます。それでは、おやすみなさい」
「あ、おやすみなさい・・・」
その言葉を最後に彼女は去っていった。
そして水を飲みながら自分の部屋へ帰る途中、どっと息を吐いた。
女子(しかも知り合い)と話すのってなんか緊張して疲れる。精神的に色々と…。
明日の昼、空いてるかな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ