6畳の部屋
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は新しい手段を思いついたのです!!」
奴が指をぱちんと鳴らすと、灰色のツナギを来たバイト学生みたいな奴らがわーっとなだれ込んで来た。黒い布に覆われた大きめの荷物を、手に手に抱えている。
「わっなになに!?」
俺がわたわたしている間に、奴らは慣れた手つきでそれらを配置していく。眼鏡は両手を後ろで組んで背を反らし、滔々と語り始めた。
「座って半畳、寝て一畳。なのに何故皆、六畳間に住みたがるのか」
…いや、最低六畳って話なんだけど…
「それは見栄に起因するところが大きいんじゃないでしょうか。俺は六畳に住んでいるぞ、と」
「六畳てそんな大層なものか!?」
「ですから、この厄介な案件に関して私が出した答えは…これです!!」
バイト学生たちが、一斉に黒布を取り払った。…ていうか…厄介て言ったかこいつ…
「―――家具?」
冷蔵庫、テレビ、ちゃぶ台…白物家電や家具が、きちんと並べられていた。
「タンスはありませんが押入れの一部をクローゼットにリフォームさせて頂きました」
うん、そうか、据え付け家具…しかしこう、何か全体的に違和感が…
「お気づきになりますか」
うん、何かこう、違和感…違和感が…この違和感は…
「―――あ、小さい!!」
全ての家具が微妙に、気づくか気づかないか程度に小さい!何だこれ!?
「そうです。家具家電は据え付けにして、小さめのものを選りすぐって配置しました。…どうです、これではまるで大きい自分がおかしいかのような気分になってくるでしょう?」
奴は得意げにもう一度、背を反らした。
「箱根のトリックアート館で思い付きました」
またすごい事ぶっちゃけたなこいつは。
「仮に、この部屋に来客があったとしましょう。全てが微妙に小さめなこの部屋で、彼は猛烈な違和感を覚えるかもしれません。しかし畳は6枚、家具もジャストサイズ。そして貴方の控えめな身長も、この部屋にジャストサイズ!」
「うるせぇよ余計なこと言うな」
「あれ?俺、また背が伸びたかな?間違っているのは俺のサイズ感かな?そう思うに違いありません!!据え置き家具の分費用はかかっております…だがリフォームの費用や手間を考えれば、全くもって微々たるもの!!」
「言いたい事は分かったけど色々問題あるからなお前の営業トーク」
「お値段はなんと!据え置き四畳半レベル!」
「当たり前だ四畳半なんだから」
―――そんなことがあったのが数年前。
結局俺は『新品家具据え置きなら…』という理由でこの部屋を借り、出ていく理由もないので借り続けている。
初めて来た友人の『……!?』て二度見顔を見るのがひそかな楽しみになっているし。
そして意外なことに、据え置き小さめ家具のせいでスケール感がおかしくなるらしく、俺の
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