外伝 あいつはそういう奴だから
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(おれ)など最初から眼中になかったのだな」
あの殺意は全て、この現状を作ったフレイヤに向けたもの。
オッタル相手に一歩も引かなかったのは、邪魔なものをどけるため。
オラリオ最強の男は、あれだけ暴れたにも関わらず『相手にされていなかった』。
余りにも稚拙な事実を、オーネストは鼻で哂った。
「てめぇみたいな人形野郎に……誰が、興味を示す……かよ――」
直後、オーネストは力尽きた。地面にぶつかった体から鮮血が飛沫となって飛び散る。周囲で様子を見ていた群衆から数名が迷いなく飛び出し、ある者は武器を手にオッタル達を警戒し、ある者は必死でオーネストにポーションなどの応急措置を施し、またある者はオーネストを治療する場所を探すために人払いを始めていた。
誰もが既にフレイヤなど眼中になく、すべての思考がオーネストを第一に変更されていた。『猛者』が目の前にいるという絶望的な事実を突きつけられた数名の冒険者は、死んでも通さない覚悟を決めた瞳をしていた。
フレイヤは、「帰りましょう。貴方の手当てもしないとね」と、どこか嬉しそうに告げた。
オッタルは傷を塞ぎもせず、ただ捨てられた自分の耳を拾い上げて、じっと見つめた。
「どう、オッタル?耳を引き千切られた感想は?」
「……『頭を冷やせ』と……この耳は、頭に登った血を吐き出して冷静になれという意味っだったのだろうかと、考えていました」
「さぁ、どうかしら。耳は種族の象徴でもあるわ。普通なら猪人に対する痛烈な侮辱とも取れる。それに、ただ子供っぽく眼中にない筈の相手をどかせないことに腹を立てて八つ当たりをしたのかもしれない。あるいは最強に手をかける名誉?あるいは『聞く耳』を持たない貴方へのあてつけ?あるいは………あるいは………可能性はいくつもある。全てだったのかもしれないし、そうでもなかったのかもしれない。意味は一つとは限らないわ」
だくだくと血がとめどなく流れるオッタルの頭を気にも留めず、女神は謳う。
「あの子の行動の意味は誰にも分からない。分からなくてもいい。何故なら、行動を起こした自分さえその意味を分かっていれば他人に理解されずともいいと思っているから。それがあの子の美点であり、欠点でもある。だからこそ、彼はいいのよ」
自分の価値は自分が決める。
自分のやることは自分で決める。
傲慢なまでの自己決定権。
それは、自らが世界で唯一の存在であることの証明であり、反逆の遠吠え。
「あの子が手に入るか入らないか、私にも予測は付かなかった。おかげで引き際を誤ってお腹に痣が出来ちゃった♪」
美しい絵画にへばりついた染みのような青痣を、フレイヤは愛おしそうに撫でる。
「そう、これなのよ………『オーネストはそうでなくっちゃ面白くな
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