外伝 あいつはそういう奴だから
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もしれないのに、あんなのに見つかったのが運の尽き。ものの見事に乙女の夢を叩き潰されて結果だけを渡された形になった春姫だった。
「ちなみに何でそんなことしたんだ、オーネスト?」
「元々嫌いなタイプだったんだがな。ああいうのは夢ばかり見て現実を見ていないから、それを思い知らせてやろうと思って金を放り込んだ。ドラマチックの欠片もない展開に置いてけぼりにされる姿が容易に想像できて、実に清々しい気分だったな」
「といいつつ、内心ではメリージアとの余りの違いに内心イラついてたんじゃないのか?あの二人、立場は似てるのにまるで正反対な態度だからな」
「オーネスト様、アタシみてぇなクソ生意気な半人前メイドの為にそんなに怒って……感激です!!」
「……………もォ面倒だからそれでいい」
= =
人には、その器に見合った格というものが存在する。
その格が強さに直結するのならば――オッタルの器はとてつもなく大きいのだろう。
そのような話にオッタルは興味が無かった。自分の存在を認め、絶対の忠誠を誓ったフレイヤの存在さえあればオッタルはそれで良かった。彼女が望んだ全ての期待に応え続け、全ての困難を打ち払った。気が付けばオラリオで最強と謳われる『猛者』となったが、それをオッタルは誇らしいとは思わなかった。ただ、フレイヤの最強の剣としての自分を改めて自覚した――その程度の感慨だった。
あるとき、フレイヤの「いつもの気まぐれ」に付き合った日。
オッタルはありふれた、自分より弱い存在と出会った。
その存在は矮小な一個人で、体格も実力も到底自分に勝るものではない。出で立ちは薄汚く、眼光だけが不気味なまでの気迫を湛える、オーネストと呼ばれる少年。――よくいる、力任せで吠えるしか能のない中級冒険者だった。
別にだからどうとも思わない。あの若者はフレイヤにその魂を気に入られ、これからファミリアの一員となる。何度も見た光景だ。実力はいい。相応しい覚悟さえ生まれれば、実力など後からついてくる。彼女に欲しいと思ったものを諦めるという発想はない。当然として、オッタルは少年もそうなると思っていた。
案の定というか、フレイヤの放つ妖艶なる神気に中てられ反抗的だった少年の動きが鈍っていく。威勢だけは良かった眼も段々と力を失う。この段階で完全に魅入られるような存在はいくらでもいる。むしろこの段階で完全なフレイヤの奴隷と化していないというそれだけで、フレイヤ・ファミリアに席を置く資格があるというものだ。
「私の元に来なさい、オーネスト。――貴方が母親を忘れられるくらいに、夢中にさせてあげる」
これで決まった、と、オッタルは感慨もなく思った。
「――俺に、触るなッ!!」
少年の眼から、全
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