最終項『宝探しー?ぉーぱるのつるぎー』
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まりしその折、
両の眼まなこを炯々けいけいと燃やしたるジャバウォック!」
「そよそよとタルジイの森移ろい抜けて、
怒どめきずりつつもそこに迫り来たらん!」
物語に引き込まれるような調べが流れるなか、アリスたちの声の迫力が増していく。
「一、二! 一、二! 貫きて尚も貫く」
「 ヴォーパルの剣つるぎが刻み刈り獲らん!」
謳い終えてふぅ、と息を吐き出すとこちらを伺うような表情を向けた。 今アリスたちが聞かせてくれたのが、ジャバウォック討伐のヒント。 そして、明らかにキーアイテムと思わしき文言も盛り込まれている。
「……ヴォーパルのつるぎ、ね。 一ついいか」
「えぇ、どうぞお兄さん」
「その剣ってここにあるのか?」
ダメ元の質問だったが、予想に反してアリスはコクリと首肯した。 なら、あとは〈ヴォーパルのつるぎ〉を探し出せばクリアだ。
ぐるりと周囲を見回す。 あるのは、傍聴席に、ジャバウォックと三人が戦っている中央。 そして、ハートの女王がいる玉座。 果たして剣らしきものは……
「……すっごい簡単に見つかったんだけど」
呆れを多分に含んだため息が溢れた。
玉座の上。 壁に一振りの装飾剣が掛けられていた。隠す気など毛頭ないのは、設計者の優しさなのかはたまた罠なのか。 ホール中央で戦闘を行うシィ達を一瞥すると、うまくローテーションを行いながら立ち回っているが徐々に追い込まれている。 なんにせよ時間がない。腹を決めると、即座に行動へと移す。
「シィ、あと1分だけ堪えろ!」
「うぇ?! い、1分だけだかんね!」
「頼んだ!」
戸惑いながらもしっかりとした声で返事が返ってくる。 なんだかんだ言ってまだ余裕はありそうだ。それに少し安堵しつつ、戦闘の邪魔にならないように中央を迂回しつつ玉座へと走る。
数十段ある段差を助走をつけて一気に飛び越えると、玉座から猊下していたハートの女王の前へと着地した。 突然の出来事に女王は豪華な椅子の上でのけ反ってこちらを凝視していたが、すぐに声を張り上げ叫ぶ。
「ジャバウォーーック!こいつを今すぐ殺せぇぇ!」
『Gyaaa!!』
「ちっ、厄介な……!」
女王の命令を受け、狂化ジャバウォックがぎろりとこちらを睨むと、シィたちなどお構いなしに突撃してくる。
ヘイト関係無しの行動に悪態をつきつつ、刀を一閃させ宝飾剣の留め具を破壊する。 それを手中に収めると、アイテム名を確認するべく剣をタップする。
目の前に浮かんだウィンドウにはただ一文、〈ヴォーパルの剣〉と。
気がつけば、瞳を血走らせた怪物がすぐ下まで迫ってきていた。愛刀を鞘へと納め、代わりに宝飾剣を正眼に構
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