最終項『宝探しー?ぉーぱるのつるぎー』
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ほどよりも格段に速くなった突進で間合いを詰め、ギラリと光るかぎ爪を振り下ろす。咄嗟に刀で受け止めるが俊敏値だけでなく筋力値も大幅な強化を受けているようでジリジリと押される。
「ハァァッ!」
シィの体重を乗せた重い一撃がジャバウォックへと見舞われるがまったく堪えた様子を見せずに、さらにノーモーションで体を旋回させると周囲を尻尾で薙ぎはらった。
「きゃぁ!?」
「シィ! グッ……はぁ」
木の幹のように太い尻尾が横腹を強かに打ちつけ、弾かれたように吹き飛ばされる。 ドンっと壁に背中から衝突し、微かに息が漏れる。 数回えづきながらも立ち上がると〈マッドハッター〉と〈ウォッチ〉が狂化ジャバウォックに応戦していた。 だがやはり長くは保たないだろう。
ありえないほどの超強化を施されたジャバウォックを見据えながら、思考を巡らせる。
不可解な点は幾つかある。 一つ目は、やはりジャバウォックのありえないほどの強化だろう。 その能力値の振れ幅はゲームとしてのそれを遥かに超えている。 公平さを心情するとSAOにあるまじき行為だ。 だが、もう一つ。 この一連のクエスト共通の課題と言っても過言ではない〈謎解き要素〉が絡んでくるとなると話は別だ。
考えられるのは、ジャバウォックの打倒が真の目的ではない場合、もしくは何かフラグを建てる事でジャバウォックの強化が解除され弱体化する場合。 おそらく前者は違うだろう。 クエストメッセージには、『怪物ジャバウォックの打倒』という意味の文言が含まれている。 ならば、後者だが、これと言ってヒントが見当たらない。
手詰まりか、と絶望しかけたその時、クイクイと袖を引かれた。ハッと我に返り、顔向ければ、いつの間にか袖を控え目に掴む白のドレスの童女ありすと心配げに上目遣いで見上げてくる黒の童女アリスが側に居た。 アメジストのように澄んだ瞳を向けると幼さの残る声音で恐々と伝えた。
「あぁなったジャバウォックは誰にも止められないわ」
「そうね、あたし。 〈?ぉーぱるのつるぎ〉がなければ止められないの」
「?ぉーぱるの……つるぎ?」
聞きなれない単語を耳にし、おうむ返しに聞き返すとアリス達はそろってこくんと頷いた。 そして、互いの手を取り合うと謳い始める。
「そうだわ、あたし!あのお詩を謳ってあげましょう!」
「いい考えだわ、あたし!そうしましょう!」
すっと息を吸い込むと、二人の少女による歌詠みが始まる。
「我が息子よ、ジャバウォックに用心あれ!」
「喰らいつく顎あぎと、引き掴む鈎爪!」
「ヴォーパルの剣つるぎぞ手に取りて」
「尾揃おそろしき物探すこと永きに渉れり」
「かくて暴ぼうなる想いに立ち止
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