最終項『宝探しー?ぉーぱるのつるぎー』
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
空気の中、あどけなさの残る会話が響いた。
「ふふっ、やっぱりね!思った通りだわ!あたし!」
「そうね、あたし。お兄さん達はきっとこの哀れで寂しい物語に素敵な終わりを迎えてくれる!」
キュッとシルクの手袋に包まれた手を握ると二人は声を揃えて言った。
「「信じてるからっ!!」
「任せて! とりあえずあの赤いの、ぶっ飛ばせばいいんだよね!!」
殺る気を滾らせたシィが身の丈ほどある大鎌を構えて、ハートの女王へとその刃を向ける。
「頑張ってね、お姉さんたち。 これは餞別よ」
「おお、これは」
「凄いな……」
黒いアリスはにこやかに微笑むとチュッと音を立てて投げキッスを贈った。 ふわふわと二つのハートが漂い、目の前で弾けると虹色の光が俺らを覆い、やがて消えるとともに二人のHPバーが完全に回復するとともにその下に様々なバフアイコンが並んだ。 それも一つや二つではない。滅多にない光景にたまらず声を上げた。
だが感動するのも束の間、三たび王杖が叩きつけられた。
「フンッ、別れの挨拶は済んだようだな。ならば死ね。ジャバウォック!!」
『GYaaaaaaa!!!』
主人の命を受けたジャバウォックが、大気を震わせるほどの咆哮を上げると、頭上へと三段のHPバーを出現させる。
再び響かせた轟咆が戦闘開始の合図となり、俺と相棒はジャバウォックを正面から迎え討ち、成り行きで力を貸してくれることとなった帽子屋と時計ウサギは様子見のために散開し、距離を取る。
『GYaaaaaaa!!』
「どっ、せいっ!」
『GYaa!?』
気の抜けるような掛け声とともに大鎌が振るわれ、ジャバウォックの横っ面を殴りつける。 いきなりの奇襲に悲鳴に似た叫びを上げるがそれほど効いていないらしく、微かに上体が揺れたのみでジャバウォックは即座に反撃の爪を振るった。 シィはそれを見事なタクトパリィで受け流すと、ジャバウォックで胴体に一太刀加えながら、後ろに大きく跳躍し、叫んだ。
「ユーリ、スイッチ!」
両者の間に開いたスペースへと身を躍らせ、ギラつく爪を抜刀で迎え撃った。耳触りな音を響かせながら、ジャバウォックの鋭い前爪を弾き上げると即座に斬り上げ、刃を返して袈裟懸けに斬りつける。 カウンター気味に放たれた二連撃は、ジャバウォックの眉間を捉え、クリティカル判定を出しつつHPを大きく削る。
よし、と意気込んだのも束の間、鋭爪が正面を薙ぎはらうように振るわれ、それをバックステップで躱すも追撃が放たれ、またそれを躱す。
息もつかせぬ連続攻撃に曝され、ヒヤリと汗が額を伝う。 だがジャバウォック優勢の状況は別の要因によって覆される。
「ーーハァッ!」
『
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ