最終項『宝探しー?ぉーぱるのつるぎー』
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線を向ければ、服装だけでなく顔まで真っ赤にし、ハートの装飾が施された王杖を手にした女王がこちらを物凄い形相で睨んできていた。
「無礼者どもめっ!恥を知れっ!妾の居る場でそのようにギャーギャーと喚き散らしおって……!!」
「おい、シィ。言われてるぞ」
「なんでさ?!」
だが、この態度が気にくわなかったのか再び王杖が打ち付けられる。
「もういいわっ!そこのうさぎ共々死刑にしてくれる!! ジャバウォーーークッ!!」
ハートの女王が王杖を掲げ、ヒステリック気味に叫けぶと唐突な揺れと共に天上を突き破り、巨大な影がホール中央へと落下し、砂煙がそいつを覆った。
皆静まり返り、落ちてきたソレを遠巻きに見ていると砂煙が晴れ、全貌が露わになった。 まず目についたのが、天井から降り注ぐ光を浴びて毒々しいほどの滑らかに光る緑色の皮膚。 そして、前後の脚の先からは鋭い爪が伸び、猫背に沿った背中から薄い飛膜の翼が生えていた。 ドラゴンのような怪物は爛々と光る赤い瞳を震えて動けない哀れな仔ウサギに向けると顎を開きーー
「あっ……!」
「ちょっ?!」
ーーパクリと、うさぎを丸呑みにした。
微かな静寂の後、状況に理解が追いつき会場は一瞬で喧騒と混乱に包まれた。 慌てふためく者、恐怖で泣き叫ぶ者、逃げようとする者達が入り乱れる中でジャバウォックと呼ばれた怪物は、赤い双眸を俺達へと向けた。
「さぁ、お兄さん! 最後の物語よ!」
「さぁ、お姉さん! 最高の結末を迎えてね?」
グッと小さな拳を握り、励ましてくる黒いアリスと心配そうな表情を浮かべた白いありす。 二人の声援を受け取ると、武器を手に取り改めて怪物ジャバウォックへと向き直る。 いざ戦いが始まる瞬間、玉座から高圧的な声が聞こえた。
「ジャバウォックを前に恐れぬ勇気に免じ、妾の前に跪き頭を垂れるのなら命くらいは助けてやってもよいぞ」
フッ、と嘲笑するような自らの圧倒的有利を疑わないハートの女王。 そして、女王の優位さを体現するかのように炯々と紅い瞳を光らし、目の前へと立ち塞がるジャバウォック。
だがしかし、こちらとて幾千もの死地を切り抜けてきた猛者なのだ。 これくらいのことで退くことはない。
向かい合い。口元に微かな笑みを浮かべると、武力で独裁体制を敷く女王へと言ってやる。
「「だが断る!!」」
交渉決裂。 ハートの女王はクシャリと顔を歪めると、鋭い視線を俺らへと向けた。 だが同時に加逆的な笑みを浮かべる。恐らく女王が指示を出せば、ジャバウォックはすぐにでも襲いかかってくるであろう。
一触即発の
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