最終項『宝探しー?ぉーぱるのつるぎー』
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〈ハートの女王〉が統べるお城は、外見も相当派手ながら、内部もかなりゴテゴテして目が痛くなるほどの派手さ加減だった。 どのくらいかと言うと、
赤の色が強調され過ぎていて、イメージカラーが被ってるシィが保護色になるほど。 「私の存在感がっ!」とシィが涙目で喚いて少し可哀想に思えた。
そして、現在。 ユーリ達御一行は、見張りのろくにいない城門から鮮やかな赤い薔薇の咲き誇る庭を抜け、城内へと堂々と進入しを果たし、 最後の敵が待ち構えているであろう大広間へと続く回廊を駆けていた。
??
「そこを、どけぇぇぇ!!」
敵を視認するなり、力強く床を蹴ったシィが道を塞ぐように現れたトランプ兵へと単騎突撃すると、勢いを乗せた大鎌が振るわれ、蜘蛛の子を散らす勢いで敵が駆逐されていく。 彼女のバーサークっぷりが功を奏したのか、およそ十数分ほど駆けると廊下の終わりに細かい装飾の施された大扉が見えた。
迷宮区のボス部屋さながらに異様な雰囲気を漂わせるそれを前にさすがのシィも立ち止まると、不安げな瞳を向けてきた。
「……行くか」
「うん!」
コクリとシィが頷く。
短い言葉を交わし、扉を押すと音もなく開かれ、室内の状況を明らかにした。
大きなホール状の室内には、即席の裁判所らしきものが設置されており、傍聴席には多くの動物達が詰め、被告人と思わしき子ウサギが1匹、裁判官の前に立たされていた。
『汝、女王様のお昼のおやつのタルトをつまみ食いした罪により、罰せられる』
「「おいちょっと待て!!」」
あまりにも酷すぎる罪状に、つい反射的に声をあげていた。 だが、観衆の数人がチラリと視線を向けただけで不当な裁判は粛々と続けられる。
朗々と裁判官がうさぎの罪状を読み上げる中、ホールの最奥に位置する場所では背後に煌めく宝飾剣が飾られた玉座に真紅のドレスに身を包み、いかにも感じの悪そうな女性がもたれかかっていた。 そして、それを見たシィが顔を青ざめさせながらグイグイと袖を引っ張って喚いていた。
「ユーリ!ユーリ!? なにあの赤いの!?尋常ないくらい私と色被ってんですけど!アイデンティティクライシスだよ?!」
「……アイデンティティクライシスってなんだよ」
「アイデンティティ(個性)がクライシス(危機)なんだよ! 」
ハートの女王を指差し、ギャースカと喧しい相方の頭を優しく撫で、穏やかな笑みを浮かべると優しく告げてやる。
「大丈夫。 お前を超えれるアホはいねぇから」
「慰め方が嬉しくないっ?!」
裁判の厳粛な空気そっちのけでシィと賑やかなやりとりを交わしていると突如、ズダーンと硬い物を勢いよく打ち付ける音がホールいっぱいに響きわたった。
音源の方向へと視
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