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最高の贈りもの
3部分:第三章
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第三章

「足が冷えるから」
「俺は手だな」
「手袋してる?」
「一応してるけれどな」
 それでもだ。寒いというのだ。
「二枚重ねでいくか」
「私はどうしようかしら」
「ブーツ履いてるよな」
「それでも寒いのよ」
「これだけ寒いとか」
「ええ、とてもね」
 こんな話をするのだった。とにかく二人は寒さに参っていた。
 それでだ。ペドロは。
 ホテルにある売店でだ。あるものを買った。それは。
 手袋だった。手が寒いからだ。それで買ったのである。。そしてその時にだ。
 ロシア名物と言ってもいいお婆さん、よく太っていてそこにさらに厚着をしている恰幅のいいお婆さんがだ。カウンターから彼に言ってきたのだ。
「お兄さん連れの人いるわよね」
「ああ、彼女なんだ」
 それだとだ。彼はお婆さんに笑顔で話した。
「どうだい?美人だろ」
「そうだね。こっちにはいない感じのね」
「スペインのな。そっちのな」
「スペインね。何処の国だったかな」
「南の方の国だよ」
 ロシアから見ればだ。そうなるからこう答えた彼だった。
「この国から見てな」
「南ね」
「ああ、かなり南だよ」
「じゃああったかい国なんだね」
 お婆さんは南と聞いてだ。羨ましそうに彼に問うた。
「そうなんだね」
「ああ、太陽が眩しくてな」
「いいねえ。あたしもそんな国に住みたいよ」
「寒いからだね」
「そうだよ。ロシア、特にここは寒くてね」
 寒いからこその言葉だった。
「もうね。あったかい国とかはね」
「羨ましいかい」
「それだけはね」
 本当にそうだという口調だった。
「そう思うよ」
「確かに。これだけ寒いとな」
「そうだろ。けれどあんたどうして」
「ここに来たっていうのかい?」
「木でも数えに来たのかい?」
 お婆さんはここでジョークを言ってきた。
「今さら流刑でもないだろうに」
「いや、ロシアは今でも流刑あるんじゃないのか?」
「とりあえずここには来てないね」
「そうなのか」
「そうだよ。大丈夫だよ」
 こう話してだ。そのうえでだった。
 お婆さんはだ。あらためてこう言うのだった。
「寒いからね。ここは」
「何につけてもそれだよな」
「そう。だから手袋もね」
「スペインのじゃ駄目だったな」
「手袋だけじゃないよ」
 お婆さんはここでこうも言ってきた。
「他のもだよ」
「他のも?」
「そう、相手の人は何処が寒いって言ってるんだい?」
「足が寒いって言ってるな」
 テレサが言ってきたことをそのままお婆さんに話す。
「あそこがね」
「足がなんだね」
「ああ、足がな」
 そうだというのだ。
「足が寒いって言ってるよ」
「ああ、じゃあいいのがあるよ」
「いいのが?」
「彼女へのプ
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