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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第54話:人の噂は風に乗って瞬く間に広がる。
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そうな澄んだ瞳で微笑みを浮かべる我らのパパ……グランバニア王国のリュケイロム国王陛下でしたー!

以前、リューノに手を出してしまったとき、俺は恥ずかしさから突飛な行動に出てしまい、速攻で二人の関係がバレてしまった事がある。
同じ轍は踏めない……何時もの通りに振る舞うんだ!

「どうしたんッスか?」
うん。声も裏返ってないし、普段からこんな感じだし、現在ミスは見当たらない。
流石に今回だけはリュカさんを騙し通せるだろう。

「言った通り、彼女……ピクトルさんは部屋の扉も股の間も開いただろ(笑)」
コイツは巷の噂話を仕入れてないのか?
ちょっと話を聞けば、俺が誰とデートしてたか判るだろう。相手がピクトルさんでは無い事は直ぐに判るだろうに……

「何を言ってるんですかリュカさんは? ピクトルさんは俺が言った通り、男を簡単に部屋へ入れる様な女性ではなかったですよ!」
「ほう……では今日、彼女の部屋には近付いてもないのだな?」

「ええ。無礼な事を言って彼女を傷付けてしまいましたからね。土下座して謝罪しましたよ……その帰りにとある美女とバッタリ出会って、落ち込んだ俺を慰めてくれたんです」
「なるほど……城下のカフェでリューナ相手に“あ〜ん?”とかしてたのは、そう言う理由か」

「な、なんだ……カフェの相手がリューナだって知ってたんですか。なら何でピクトルさんとの事が開口一番に出てくるんですか!?」
「お前が僕の事を舐めてるからだよ」

柔らかい口調の中に幾分かの苛立ちに似た感情が見受けられる。
俺はリューナとの事だけを全面に話そうとしたが、丁度のタイミングで店員がリュカさんの紅茶を持ってきた為、一旦沈黙する事となった。

届いた紅茶を一口飲むリュカさんにつられ、俺も自分のコーヒーに口を付ける。
既に温くなったコーヒーは不味く、リュカさんからの言葉と相俟って俺の心を落ち込ませる。
せめて美味いコーヒーで気分を変えたいので、お代わりを要求する為にカップ内のコーヒーを飲み干した。

そんなタイミングで口を開いたのはリュカさん……
破壊力抜群の一言を俺に浴びせかける。

「僕が……娘の下宿先を知らないとでも思ったのか?」

ウルフSIDE END




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