暁 〜小説投稿サイト〜
Everlasting oathーブラッド・オンラインー
第1章ー想いを捨てるー
昔の出来事
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 俺がまだ小さい頃、車に乗っていた俺と両親は事故に()い、親は亡くなり、後部座席に座っていた俺自身は骨折程度で済んでいた。

 事故に遭って時間が経ち、車の中で意識が回復した幼い俺は父親に声を掛けた。お父さん、痛いよと。でも、返事は返って来なかった。

 それなら母親に助けてもらおうと声を掛けた。お母さん、痛いと。でも、返事は返って来なかった。来る筈が無かった。父親と母親の顔はグシャグシャになって喋れ無くなっていたのだから。

 それでも、俺は両親の(みにく)い姿に気付かないまま話し掛けていた。

「お母さん痛いよ、お父さん痛いよ………何で無視するの?ねぇ、手が痛いよ………」

 助けが来たのは数十分後。街外れの事故だった為、助けが駆け付けるのに時間が掛かったらしい。周りで見ていた人が少なかったから。見ていたのは動けないでいる幼く、無力な俺と、大型トラックの運転手だけ。

 運転手の男がパニック状態になり、頭の中で葛藤(かっとう)していたから行動するまでに時間が掛かって遅れてしまったという事もある。

「お父さん、お母さん………どうしたの?」

 大型トラックとの正面衝突。運転手の(おこな)った飲酒運転の所為(せい)で、スピードの出し過ぎの所為で、優しく微笑み、明るい笑顔で話をしてくれていた両親は前の姿の面影(おもかげ)も無い。仕事でのストレスで酒を飲み過ぎた、くだらない理由で家族を失った。

 最後に両親を見たのは救急隊員が両親を車から引き()り降ろす時だった。

(まみ)れになり、肉塊(にくかい)と成り果てた姿を見せながら引き摺り降ろされていた。両親へ向かって言った言葉が、お父さん、お母さん、痛いよと一言だけ。

「偉いよな圭介は。毎朝こうやって遺影に挨拶してるんだから」
「………親だから、一応だよ。母さん達との思い出は覚えてないけど」

 気にしたってしょうがない、いないもんはいない。つまり、俺は強いってことだ。うん、関係無いね。

 そうか、と叔父は(つぶや)いて朝食の置いてあるテーブルへと向かう。ベーコンエッグと思われるモノと焼いた食パン。それと牛乳。朝食と言えるメニューが置かれていた。

「悪い、毎度ながら俺は猫型ロボットじゃないから優れたものは出せない」
「知ってる」
「酷いっ!」

 叔父えもんがポンコツなのは前から知ってる。

「ま、暗い話はぱーっと忘れて。食おうぜ」

 叔父は笑顔でケイスケをテーブルへと手招きする。

「だよなー……昔のことだし、覚えてねーし!」
「そうだそうだ、親なんて忘れちまえー!」

 それは酷すぎやしませんか?



『何でお父さんとお母さんを殺したの。お父さんとお母さん
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