暁 〜小説投稿サイト〜
Everlasting oathーブラッド・オンラインー
第1章ー想いを捨てるー
昔の出来事
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団を取っ払い、一呼吸する。

「…………眠い」

 今日の夢は美女に蹴られ続ける夢でした。え?どうでもいいって?そうですか。

『もっと叩いてくださいッッッッッ!』

 あれは夢の中だ、そうだ夢の中さ。現実で言ったわけじゃない。

 なんてことを思いつつカーテンを開け、朝の日差しに御対面。起きたばかりの俺には少し(まぶ)しく、目を細める。

 欠伸(あくび)をしていると背後のドアがきぃと開く。危険を察知し、途端に寒気がする。ヤバイの(叔父)を部屋に招き入れてしまったようだ。

「愛のある御奉仕に参ったでござる」
「……すいません、人生に迷いが生じたんですか?交番ならすぐ近くなので相談して来たらどうです?」
「人生に迷いは付き物さ………」

 目に映ったのは破壊力抜群の叔父の姿────筋トレを続けた結果、ボディービルダー並みに強化された上腕二頭筋、小刻みに振動させる事を可能にした胸筋、中学生が見たらバッキバキと言い表す程、六つに割れた腹筋。筋肉を隠す衣類は一枚のエプロン。

 所謂(いわゆる)、裸エプロンの姿で部屋に入ってきた。危険を感じないわけない。

「出て行けよ……」
「出て行かぬ、御奉仕しに来たって言ってんだろ」

 こいつ(叔父)は一体何をする気なんだよ。時々だけど同性愛者(ホモ)じゃないのかって疑うんだけど。

 中学1年の頃────当時から時々、こうやって色々な衣装で部屋に突撃してくる傾向がある。初めて衣装を着てきた時は軍人のコスプレ。バリエーションは増えて、太平洋を泳ぎ回る直前の男性コスプレ。しかもブーメランパンツ。長年の追求で裸エプロン、恐ろしい。

「美しいって?照れるわ」
「誰が美しいなんて言ったんだよ。勝手に言ってもいない言葉を頭の中で作るなよ」
「俺の筋肉が美しいなんて知ってるが?」
「もういいです。あんたの脳内には妖精が住んでいるみたいだからどうしようもない」

 毎度毎度、俺から褒められたい衝動を表に出すのは辞めてもらいたい。

「俺はもう下に行くから、早く降りて来るんだぞ」

 キレのある方向転換をするとエプロンが宙を踊り、後ろ姿を見ている俺は叔父の締まりがある美尻を見てしまった。

 裸エプロンで待ってることはないって願ってる。マジで。

 叔父が部屋を出て行った後、溜息を一つ吐いて身支度を済ませる。そして、叔父が待っているリビングへと向かう。

 リビングに着くと普段通りの私服姿で叔父が料理をテーブルに運んで朝食準備をして待っていた。亡くなった母親の料理とは違って少し雑で──男っぽい料理。それでも美味しく感じる。

 何故、親がいないのか。いないものはいない。ただ、俺を良く知ってくれているのは叔父だけになってしまった。

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