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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四話 カストロプの動乱
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いと言うのなら私は次の命令を発する事になる。……マクシミリアン・フォン・カストロプを殺した者は今回の反逆を終結させた功労者として遇す。当然今回の反乱に参加した罪は問わない」
マクシミリアンはぎょっとした表情で周りを見渡す。そして恐怖で血走った眼で私をにらみつけた。
「ひ、卑怯だぞ、シュムーデ」
「降伏か、それとも部下に殺されるか、五つ数える間に決めたまえ。一つ、二つ、三つ……」
「降伏する! 頼む、殺さないでくれ! 部下を止めてくれ」
マクシミリアンは恐怖の余り悲鳴のような声を上げて降伏した。
「マクシミリアン・フォン・カストロプの降伏を受け入れる。これ以後、彼の身柄は帝国軍の管理下にあるものとされる。いかなる意味でも彼に危害を加える事は許されない」
私の言葉にマクシミリアンはホッとしたような表情を浮かべている。どうやら本当に部下に殺されると思ったらしい。人望など欠片も無いようだ。だがこの男に死なれては困る、やってもらうことが有るのだ。
「反乱の首謀者であるマクシミリアンでさえ助命される。反乱に参加した者たちがマクシミリアンを超える処罰を受ける事は無い。ただし、これ以後抵抗するような事があれば、それに対しては容赦する事は無い」
私が話を終えると部下たちからも降伏を申し入れてきた。反乱は終結した。しかしまだ終わりではない、副司令長官に反乱の鎮圧を報告し、カストロプで新たな任務につかなければ。
「閣下、上陸後の手順ですが、最初にフェザーンでよろしいでしょうか?」
「そうだな、最初にフェザーン、次にオーディンに居る協力者だな」
「……我々は何時まで此処に居るのでしょう?」
「今回の反乱軍の侵攻が終わるまでだ。我々の任務はカストロプの反乱の鎮圧とフェザーンに対する欺瞞工作だからな」
私はアーリング大尉に答えながら外を見た。外には五万隻以上の大軍が居るように見えるだろう。しかしその殆どがダミー艦だ。
ここに居るのは私の率いる三千隻のみ。他は皆シャンタウ星域に向かっている。今頃は既にリヒテンラーデについた頃だろう。
司令長官の策は確実に敵を絡め取りつつある。カストロプ、フェザーン、オーディン、そして反乱軍。その全てを反乱軍撃滅に向けて動かしている。今月中には全てが終わっているだろう……。
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