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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四話 カストロプの動乱
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国の情報が送られてきている。フェザーン経由の情報だが、ヴァレンシュタイン司令長官は未だ反乱を鎮圧していないようだ。どうもおかしい、そんな事があるのだろうか?
罠だとしか思えない。フェザーンがこちらを騙そうとしているのだろうか? それともフェザーンも踊らされているのか。同盟軍は少しずつ破滅へと引きずり込まれている……。
どれだけの人間が生きて帰れるのだろう。その思いが心臓をきりきりと締め付けてくる。第十三艦隊百五十万の兵の命の重さに私は潰されそうだ。指揮官というものがこれ程の重圧をもたらすものだとは思わなかった。
いや、重圧をかけてくるのはヴァレンシュタインか。彼が相手でなければこれ程の苦しみを味わう事は無かったはずだ。
「閣下、総司令部より連絡が入っております」
「有難う」
際限なく落ち込んでいく私を救ったのはグリーンヒル中尉だった。電文を私に渡す。
〜帝国軍は国内の反乱鎮圧に失敗、鎮圧軍はかなりの損害を被った。それにより帝都オーディンでは政治的混乱が発生した模様。各艦隊司令官はこの千載一遇の機会を逃すことなく急ぎ進攻されたし〜
電文を持つ手が震える。ありえない、こんな事は断じてありえない。叫びだしそうだった。正直に言えば総司令部がいつかは危険に気付いてくれるのではないかと思って、いや願っていた。だが総司令部は進攻を急かしている……。
自分を落ち着かせようときつく目を閉じて深呼吸する……一回、二回。ゆっくりと眼を開けもう一度電文を見る。
〜帝国軍は国内の反乱鎮圧に失敗、鎮圧軍はかなりの損害を被った。それにより帝都オーディンでは政治的混乱が発生した模様。各艦隊司令官はこの千載一遇の機会を逃すことなく急ぎ進攻されたし〜
同じだった。私は思わず電文を握りつぶした。グリーンヒル中尉が驚いたような眼で私を見ている。
「グリーンヒル中尉」
「はい」
「……全艦に艦隊速度を上げるように命じてくれ」
帝国暦 487年8月 3日 カストロプ公爵領 マクシミリアン・フォン・カストロプ
帝国軍はアルテミスの首飾りを囲むようにして艦隊を配備している。やつらもこの首飾りの威力を知っているらしい。なすすべも無く囲んでいるだけだ。高い買い物だったが、それなりの価値はあったと言うものだ。
もうすぐ反乱軍が帝国軍と戦う。あの小生意気な金髪の小僧が性懲りも無く戦うのだ。イゼルローン同様大負けして帰って来ればよい。奴が敗れれば帝国政府も変わる。
大体あいつらは父を殺したのだ。奴らこそ反逆者ではないか。あげくの果てに私には相続を認めないとは、私を馬鹿にしているのか。私こそがこのカストロプの正統な支配者なのだ。
リヒテンラーデ侯が失脚すれば、私の反逆罪も取り消されるだろう。フェザーンやオー
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