第14話 初仕事は人探し
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パンチが炸裂した。
その拳は、正確にナツの顔面を捉えて、綺麗にめり込んでいる。そのまま、ナツは吹き飛んで、壁に衝突。……そのまま、目を回していた。
「ははは……やっぱり、バカだなアイツ。なんで懲りねーかなぁ?」
先ほどまでナツと喧嘩をしていた筈のグレイ。
なんで喧嘩が終わったのかは判らない。……判るのは、グレイは、離れたところで苦笑いしてる事だけだった。 最初の喧嘩はどうなったの……? とツッコミを入れるのは野暮だと言う物だ。基本的に、皆は、別に大した理由も無く、楽しそうに……喧嘩をしているのだから。
「む〜〜……なんだか、うるさくなったね? 折角の初仕事(ゼクトと一緒の!)だっていうのに〜」
レビィはそうむくれていた。ギルドの中だから、2人きり……とはならないけれど、ちょっとしたデートの予定、そのつもりだったのだろう。それに茶々を入れられている気分になっている。
「あははっ……、朝なのにやっぱり、いつも賑やかだね? いいんじゃないかな? フェアリーテイルだもんっ」
ゼクトは見渡しながらそう言う。 今も全く分からない。何故……初めからこんなに好きなのかが。そのフェアリーテイル、と言う名前に、なんで聞き覚えがあるのかもわからない。 だけど、判らないけれど、それでも判る事はある。それは、自分の気持ちだった。
「わからなくたって良い……か。今この瞬間だけで十分……だから」
好きになるのに時間なんか関係ない。昔の事を思い出す事が出来なくても、今が幸せだから。
「ん?? ゼクト、何か言った?」
「いや……なんでもないよ」
ゼクトは、そう言ってまた 笑顔を作る。
こんな風に、自然に笑う事が出来る場所――それがフェアリーテイルだ。
笑顔のまま、ゼクトは仕事選びを再開したそんな時。 服を、くいっ、くいっ、と引っ張られた。
「ん?」
何だろうか? と振り返って見ると、そこには小さな女の子がいた。昨日の宴の時には見かけなかった子。自分よりももっと小さな子だった。
「あ……あの……」
何か怖い事でもあったのだろうか?
その少女は体を震わせていた。
「あっ! ルンちゃん! どうしたの?」
レビィも少女に気づいて、しゃがみこんだ。
「ええ……っと…そのっ……」
怖い事、と言うよりは、緊張をしている様に見えた。だから、落ち着かせようと ゼクトもしゃがみ込む。
「どうしたの…? 大丈夫?」
少しでも落ち着いてもらえる様に、なるべく笑顔で、そして 目線を合わせて話を聞く事にしたゼクト。
その時だ。
「っ! あっあのっ! お、おねがいっ 助けてっ!!」
ルンと呼ばれる少女はゼクトに抱きついた。
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