本編
第九話
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るかもしれないという下心が店主にあったのは確かだが、一割くらい同情心もあったのも確かであった。
そうしてお払い箱となったデルフリンガ―はこうしてルイズの八つ当たりの相手になったのだった。ただルイズの相棒である杖は怒りの方向性がちょっとばかりずれているようだったが、大したことではないだろう。
「ま、最近は魔法の制御の練習もあんまりしてなかったし丁度いい機会だから、ちょっと痛いだけだから我慢してなさい!」
「やめてくれ〜!」
「大変だなデル、まあ生きてりゃあこういうこともあるし諦めろ」
「お前剣士なら見てないでこの可哀想な剣であるオレを助けてくれよ〜!」
「剣士だからってちょっとした知り合いの剣に情けを掛ける理由はないだろ。大丈夫だって、ルイズだって手加減くらい出来るだろうからぶっ壊れるようなことはないだろ……たぶん」
「たぶんって言ったか!?」
わざわざ塔の上まで上がってデルフリンガ―を吊り下げていたサイトが、デルフリンガ―と戯れていると中、塔の下ではルイズが準備を終えていた。
「テゥ―ス、いつも通りにお願い」
「イエス、マスター」
ルイズには呪文は必要ない、知識も必要ない、能力も必要ない。必要なことは全て相棒であるテゥ―スが担ってくれる。
ルイズが為すべきことはただ一つ。己が内に眠る膨大な魔力、精神力とも呼ばれるそれを全力で集中すること、それだけだ。それこそが彼女が行えるたった一つの魔法、本来であれば圧倒的な魔力過多で破裂し霧散するだけのそれを一点に集める。
ルイズの行うことは本来であれば、魔力を扱う者ほぼ全てが当たり前のように行う技術である。呼吸をするように自然に、身体が動くことに何の疑問も持たないように、当たり前に行えるその行為。ルイズにはそれが出来なかった。息を吸いすぎて肺が破裂するかのように、振り回した腕が摩擦で消し飛ぶかのように、ルイズは意識して集中しなければまともにその行動が取れなかった。
故に、彼女はゼロであった。本来誰もが踏み出すことの出来る一歩目すら躊躇してしまい、ゼロ距離で立ち止まる。
それでもルイズが己のゼロを恨むことはない、彼女のゼロを補ってくれるためにテゥ―スがいるのだ。デバイスに全てを任せ、ルイズはただ極大の魔力タンクとなる。ゼロであっても諦めない、出来ない事は当然ある、だからルイズは自分に出来ることだけを全力全開で行うのだ。
テゥ―スはルイズの願いを受け取り、公式を検索し、ルイズの魔力をそこに代入する。狙いは吊り下げられるデルフリンガ―……のちょっと隣。座標と魔力を代入、それに見合った砲身を形成する。
砲身はシンプルな造りであった。互いに力を内側に集中するための陣を間を開けて互いに向き合
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