第三百三十九話
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第三百三十九話 姉を見て
占いの後だ、赤音は二階に降りた。そしてだった。
今はくつろいでいる彼女にだ、こう聞いた。
「最近どうなの?」
「どうって?」
「学校とか楽しい?」
こう聞いたのだった。
「お友達と仲いいとか」
「ええ、喧嘩もないし」
葵はすぐに赤音に答えた。
「聞く限りいじめもないし」
「それはいいわね」
「成績もどんどん上がってるし」
葵は成績優秀だ、赤音よりもいい位だ。赤音にとってはこのことも自慢の一つだ。だがそれ以上によくなっているというのだ。
「十番以内に入られそうよ」
「あっ、そこまでなの」
「ええ、体育はあまりよくないけれど」
それでもというのだ。
「全体としていいわ」
「そうなのね」
「満足してるわ」
「体育今一つでも?」
「それでもよ」
笑顔のままでの返事だった。
「今で最高過ぎる位ね」
「幸せなのね」
「本当に何の不満もない位にね」
「だから最近いつも笑顔なのね」
「ええ、他にもあるけれどね」
ついついだ、葵は機嫌のいいままにこうも言った。
「私今はとても幸せよ」
「不満がない位に」
「そう、それ位ね
「わかったわ、それじゃあね」
「ああ、待って」
自分の部屋に戻ろうとする妹をだ、姉は呼び止めた。
「一緒にお茶飲みましょう」
「あっ、お茶?」
「紅茶入れるけれど」
「そうしてくれるの」
「ええ、だからどうかしら」
「ミルクティー?ひょっとして」
「そうだけれどどうかしら」
「やっぱり」
赤音は葵がミルクティーを淹れてくれると聞いて確信した、しかしその確信は隠してあらためて姉に答えた。
「じゃあ一杯頂戴」
「お砂糖は幾つかしら」
「一個でいいわ」
角砂糖のそれをというのだ。
「じゃあ今からね」
「一緒に飲みましょう」
赤音は二人で紅茶を飲んだ、そうして確信をさらに強くするのだった。
第三百三十九話 完
2016・5・7
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