第10話 いざこざと新しい艦娘
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、うぜえ」
天龍は二度も謝ったのに、大声で喚き散らす男の態度にウンザリして、つい本音をこぼしてしまった。
巨漢の男は、天龍の小さく漏らした声を耳ざとく聞きつけて、額に血管が浮き出るほどに怒りを増幅させていった。
そして巨漢の男は、いつもの通りに暴力で押さえつけて言うことを聞かせてやろうと反射的に考えて、右手を大きく振りかぶっていた。
巨漢の男は、振り上げた右手の狙いを目の前に立っている天龍の頭に定めた。
「生意気な女だッ!」
「おっ、と」
天龍に目掛けて振り下ろされた巨漢の男の右手は、ものすごいスピードとパワーを持っていた。一般人ならば、ましてや女の子ならば頭蓋骨が陥没して意識不明の重体に陥るだろうと容易に予想できるような、そんな暴力だった。
しかし、天龍の頭に当たったと巨漢の男が確信した次の瞬間、大岩が砕け散ったと思わせるような大きな音がした。
後は、巨漢の男がうつ伏せになって地面に倒れていた。しかも、気絶して完全に意識を失っている状態で。
「何事だっ!」
この時になって、ようやく酒場でダラダラと酒を飲んでいた巨漢の男の仲間たち10人が、出入り口に視線を向けた。そして、地面に倒れ伏している仲間である巨漢の男と、その近くで面倒くさそうに巨漢の男を見下ろしている天龍に気づいた。
「何だ、テメェ!?」
10人の中で、一番厳つい顔をしている男がドスの利いた声で天龍に問いかけた。普通の女子ならば、それだけで泣き出してしまいそうなほどの状況だったけれど、天龍の心には特に動揺は無かった。
天龍は問いかけられた質問を答えて、無駄だとは思いつつも一応成り行きを説明しようとした。
「オレの名は天龍。で、なんでこうなっているかって説明すると、コイツが殴りかかってきたから、正当防衛しただけだよ」
「あぁ!?」「俺達を舐めてんのか!」「詫び入れろや!」
天龍の言い様や余裕綽々な仕草に、酒場に居た10人が全員一気にヒートアップして、手に持っていたジョッキを机や床に叩きつけて、全員席から立ち上がった。
天龍はヤレヤレと思いつつも、どうやって事態を収めようか考えていた。せっかく情報収集の為に寄った酒場で、問題を起こしてしまった上で全員を打ちのめして解決したら、危険人物と見なされて村から追い出されてしまうかも。
そうなると、情報収集がうまく行えない。じゃあ、一旦ほとぼりが冷めるまで村から逃げてしまおうか。村民に顔を覚えられていたら、当分近寄れないかもしれない。
「天龍! 何やってるの……」
「ち、違うんだって! コレはだな……」
妙高と吹雪の2人が、先に酒場に向かっていった天龍に追いついた時、酒場の出入り口で男を気絶させていた。面倒事を起こしてしまったと考えた妙高は、呆れ
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