2部分:第二章
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第二章
「ハートもそうだったけれどな」
「そうか。それで今年か」
「今年もそのバレンタインか」
「それなんだな」
「一体どんなチョコレートなんだ」
そのことを考えるとだ。宇大は自然にだ。
顔を曇らせてだ。そして言うのだった。
「まともなやつじゃないにしてもな」
「どれだけまもとじゃないかが問題だよな」
「この場合はな」
「ああ、鮫が出るかハートが出るか」
その過去のチョコレート達から述べていく。
「凄く不安だぜ」
「気持ちわかるぜ」
「俺達も彼女いるけれどそういうのはないからな」
「ハート様の胸像とかな」
「シュモクザメとかはな」
「本当にな。怖いぜ」
また言う宇大だった。
「そんなチョコ出て来たらな」
「ぶっ飛んだセンスだよなあ」
「で、今年もだよな」
「その紗江ちゃんのチョコが来るんだな」
「手作りの」
「さて、何が出て来るかだな」
宇大は真剣に憂いている顔で述べた。
「鬼が出るか蛇が出るか」
「本当にそうだな」
「何が出て来るかだよな」
そんな話をしつつだ。宇大は怯えていた。そしてだ。
そのだ。紗江にもだ。こう言われたのだった。
紗江は小柄で童顔である。目が大きく唇が小さい。顔は白いが肌が薄くだ。赤らんだものが見える。
赤茶色の縮れている髪を両方でお団子にしている。小柄だが胸が大きい。いつも可愛い感じの服を着ていてこの日は白いセーターに紅いコート、それと青いひらりとしたミニスカートに黒いストッキングだ。
その彼女がだ。背が高くすらりとした顔付きと身体つきのだ。宇大に対して尋ねてきたのだ。
今二人は大学の喫茶店で紅茶を飲んでいる。その場で尋ねてきたのだ。
「あの、今年のバレンタインだけれど」
「来たか」
思わずだ。宇大は呟いてしまった。
だがその呟いた根拠の感情は隠してだ。彼は言うのだった。
「で、それだよね」
「うん、何がいいの?」
「和風がいいかな」
どうせ無茶苦茶なものが来ると思ってだ。彼は適当に言った。
適当に言ってもそうしたのが来ると確信してだ。それで言ったのである。
「それじゃあ」
「和風のチョコレートなの」
「ああ、それでいいよ」
こう紗江に返す。
「美味しいのをな」
「和風ねえ」
「うん、美味しいのを」
外見はもう諦めての言葉だった。
「それを頼むよ」
「わかったわ。じゃあ和風ね」
紗江はまた宇大に言ってきた。その可愛らしい子供っぽい声で。
それからだ。紗江は自分から述べる。
「楽しみにしておいてね」
「一応は」
「一応は?」
「味は期待しているから」
あえて多くは言わずにだった。そしてだ。
彼はあらためてだ。こう紗江に言った。
「けれどまあ特に」
「特に?」
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