第百十一話
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ばしていたツインテール。髪の毛を引っ張られたことで体勢が崩れた一瞬、対照的にリズは翼をコントロールして体勢を整えた。先程避けられたメイスをもう一度振りかぶり、無防備なグウェンの腹に向かって炸裂させる……!
「せー……のぉ!」
「――――!」
何の防御もない腹部へのメイスの炸裂と、その衝撃によってリズに掴まれた髪が引きちぎられていく。メキメキと衝撃が伝播する腹とブチブチと炸裂する髪に、グウェンは声にならない声をあげながら吹き飛び、翼を使って大地に着地する。リズを下から睨みつけるその表情は、先程までの遊びの表示ではなく、憎しみが籠もった瞳だった。
「女の命の髪。ぞんざいに扱って悪かったわね!」
「――殺すわ!」
悪かった、と言いながら適当に手に残った髪を投げ捨てながら、リズは展開した翼をそのままに上空に飛翔する。リズ自身は空中戦闘が得意という訳ではないが、グウェンもALOに来たばかりということならば、空中戦闘のキャリアはそうはないはず――という推測からだった。そして血走った眼をしたグウェンは、リズの思惑など構わずに、同じく展開した翼で飛翔した。
「よくも……私がいない間に、ルクスを奪った分際でっ!」
「ルクスはアンタのもんじゃないって言ってんのよ!」
「ショウキにリズ、大丈夫かな……」
そして本隊を叩くべく移動した二人と、囮のために飛翔していったクライン以外のメンバーは、ルクスを助け出すべく待機していた。そうは言っても心配が尽きることはなく、ユウキは何度目になるか分からない呟きをこぼした。
「確かに、もう一人くらいついて行っても良かったかも……」
「ダメですって! 後はわたしたちで、一番の大部隊を相手しなくちゃいけないんですから!」
とはいえ二人を心配している余裕は、こちらに残っているメンバーにもさほどない。目標はルクスの救出であるとはいえ、これから彼女たちは、数においては最も戦力差の激しい戦いに挑むのだから。
「……うん、ごめんシリカ。ルクスを助けることだけ……考えなきゃね」
「はい! リズさんがいない今、わたしがリーダー代行ですよ!」
ついつい弱音を吐いてしまったことを自省すると、自称リーダー代行らしいシリカが胸を張った。その頭の上では、ピナも似たような動作をしていて――ユウキは耐えられず、そんなシリカたちに吹きだしていた。
「なんで笑うんですかぁ!?」
「ふふ……ごめん、だって……」
「うん、じゃあよろしく。リーダー代行! ……ふふ」
「リーファさんまでぇ!」
――どこが面白いところだったんですか、とシリカが不満げに呟いていると、囮に出ていたクラインが戻ってきた。サラマンダーが近づいて来たことで、お目当てのサ
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