第百十一話
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た。そこを高速で木々を飛び越えていき、風を発生させる魔法で煙を一瞬にして吹き飛ばした――ついでに、木々の上に乗っていたフード付き妖精もだ。しかし、木々から落下することとなったフード付き妖精は、慌てずにその背中についた翼を展開し――その翼を、日本刀《銀ノ月》の抜刀術が斬り裂いた。すると重力には逆らうことが出来ずに、歪な音をたてながら頭から落下していく。
「ッ!」
そして落下したフード付き妖精に対して、日本刀《銀ノ月》の刀身を発射する機構によって、胴体を貫通せしめる一撃を放つことでトドメとしていると。何かが飛来する音と気配を感じた方向から、木々の合間をすり抜けて鎖鎌が迫ってきていた。発射した刀身が即座に復活した日本刀《銀ノ月》で両断しようとも考えたが、その武器にははソードスキルの光が伴っていて。
切断することは不可能だと瞬時に判断した俺は、日本刀《銀ノ月》を柄にしまい込んで柄を腰から外すと、柄に入れた日本刀《銀ノ月》を当てて鎖鎌の軌道を逸らす。そのまま俺の背後にあった大木の幹に巻きつくと、ソードスキルの効力によって幹を捕縛していく。
「おっ……りゃぁ!」
腰から外した日本刀《銀ノ月》を再び帯びながら、木の幹を捕縛した鎖鎌の鎖を、背負うようにして無理やり引っ張った。そこそこ鍛えられた俺の筋力値によって引っ張られた鎖が、その持ち主であるフード付き妖精を隠れていた木々から引っ張り出した。そのままバランスを崩して、木の根に転んだフード付き妖精に対して、枝から飛び降りた勢いのまま踏みつけた。
「ォ――」
そして背中に落下された衝撃によって、人とは思えない叫び声が鳴ろうとしたところ、フード付き妖精は突如として言葉を失った。いや、言葉どころか獣のような叫び声すらあげられず、その日本刀《銀ノ月》が突き刺さった喉から、コヒュー、コヒュー、と声ならぬ空気の音が漏れていた。
まだHPゲージが全損した訳ではなかったが、喉を貫かれたことで空気が吸えない感覚を感じ取ったのか、《アミュスフィア》によって強制終了される。悶え苦しみながらログアウトしていく妖精を足蹴に、あとはリーダーのグウェンを除けば五人ほどだったか――と思案する。まだまだ数は多いな、と辟易していると、二人ほどの足音がこちらに近づいてくる気配を感じる。
「……暴れすぎたかな」
今から考えれば、闇討ちするにも木々の枝を斬り倒したりしていれば、音も鳴るし目立つというものか。それよりは探す手間が省けた、と、日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいながらどちらから来るか気配を探っていると。
――迫り来る気配とは、別の方向から物体が飛来した。
「っと」
俺の頭を的確に狙った投擲物。木々の隙間から隙間に、まるでラジコンのように自由自在に操られるのは見事だが、結
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