第百十一話
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「……うん。ショウキくん、やっぱりいるよ。いっぱい」
まずはセブンの情報が今もなお正しいか、リーファの魔法によるサーチャーで、PK集団の情報を確かめさせてもらっていた。リーファのサーチャー生成魔法はお世辞にも高いレベルとは言わないが、この新生ALOにコンバートしたばかりの敵相手ならば、充分に通用する。魔法の発動をキャンセルする指輪である程度は対策しているらしいが、こういった魔法にあの指輪は無力だろう。
「開けた草原にいっぱい、森の中に少数……これ、どういうことでしょうか?」
「草原にいるのが囮、森の中にいるのがグウェンたちでしょ。サラマンダーが囮を倒して、森の中にいる囮が闇討ちする形ね」
とりあえず麻痺対策として、みんなで対麻痺ポーションを飲みながら。リーファのサーチャーが掴んだ敵の図を整理すると、草原に陣地を構えた多数の敵陣と、森の中に隠れた少数の敵陣が二つに別れている。リズの言った通りにそれは、草原の囮と森の中の本隊であろう。
「じゃあ、ルクスはどこにいるのかな?」
「私のサーチャーじゃ、どのプレイヤーかまでは分からないけど……」
「……まあ、草原のプレイヤーの方だろう」
助けるべきルクスは草原の囮。何故ならグウェンたちの目的の、『ルクスを仲間にするために、サラマンダーにPK集団へルクスをリーダーと誤認させる』為には、ルクスは囮部隊とともにいなくてはならない。
「そうと決まりゃ、さっさと殴り込みにいこうぜ!」
「待ってクライン。このまま突っ込んだんじゃ、あいつらの思い通りよ」
敵の配置に狙いとルクスの目的が分かった以上、クラインが言った通りにさっさと突っ込んでいきたいところではあるが、このままでは森の中にいる本隊に闇討ちされる。それこそが奴らの狙いであり、奇襲によるPKこそが得意分野だろう。わざわざ相手の土俵に乗ることもなし、それを封じるためには――
「先に本隊の方を攻撃、だ」
囮の草原と森の中の本隊。こちらが少人数であることが幸いに、まだ向こうには気づかれていない様子のため、こちらからの奇襲も可能なタイミングだ。こうして、サラマンダーであるクラインをわざと相手に見つけさせることで、敵はサラマンダー領軍が来たかと戦闘態勢を整えていく。
そして俺は、そのそれぞれの『特等席』で囮部隊が虐殺され、虐殺したサラマンダーを自分たちが闇討ちする、そんな光景を今か今かと待つPK集団のメンバーを――一人一人、闇討ちしていくのだ。
「……ッ!?」
草原がよく見える木々の上。トンファーを手に持ったフード付きの妖精が、草原を眺めながらニヤニヤと笑っている。しかし突如として、その『特等席』として用意された大きい木の枝は両断され、トンファーを持ったプレイヤーは大地
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