最悪の覚醒
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い。絶体絶命のピンチ。その時、
ブハッ
彼らの周りに、強い風が吹き荒れた。
「うおっ!!」
「なんだこの風は!?」
「突然吹き出して・・・」
「一体どこから〜!?」
その風はノーランの呪法をかき消し、敵味方すべてを勢いのままに薙ぎ倒す。四人はその風の正体がなんなのかキョロキョロしていると、一人の少年に目を止めた。
「し・・・シリル〜?」
ゆっくりと顔をうつ向け立ち上がった水色の髪をした少年。その彼とずっと一緒に成長してきた茶色の猫は、彼のあまりの変貌に目を見開いていた。
水色のきれいな髪は、藍色へと変化し、顔にはドラゴンのような鱗が浮かび上がっている。しかし、それだけではない。
左腕にうっすらと浮かんでいたはずの黒い模様。それが、遠目からでもわかるほど色濃く浮き上がっているのだ。そしてそれは、体へと伸びており、シリルの頬にまで到達していた。
「なんだありゃ」
「魔力の質が・・・変わった?」
かつて一度だけ開いたことのあるドラゴンフォース。それだけでも驚きなのに、今まで感じたことのない魔力が、彼の体から発せられていた。
「まさか・・・」
大きく変わった少年の姿に呆気に取られているラクサスと、姿は見ていないが、魔力の変化に驚愕しているカミューニ。そして、彼が変貌を遂げる原因を作り出した悪魔は、いつの間にかそれを使えるようにしていた少年を見て、嬉しそうに頬笑む。
「天空の滅悪魔法!!あれを己の力で修得したのか!?」
水の滅竜魔法と天空の滅悪魔法。全くの別物である魔法が体内に取り込まれた少年は、常識では考えられないほどの歪な魔力を体内に宿していた。
「いいぞ。予定変更だ!!こいつの心を悪に染め――――」
悪魔と一体化しつつある少年を自身の仲間に取り込もうと歩み寄ったノーラン。だが・・・その腹部に、目にも止まらぬ速さでシリルの拳が突き刺さった。
「え?」
「!?」
「は!?」
口から血を吐くノーランと、一瞬の出来事に訳のわからないといった感じのセシリーとラクサス。カミューニは見えていないせいで、何があったのかわからず、ただその場に立ち尽くすことしかできていない。
「お前たちのせいだ」
憎しみににより、最悪の覚醒を遂げた小さな竜。その一撃を受けた悪魔は、その場に崩れ落ちた。
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