最悪の覚醒
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「チッ」
ノーランの策によって目を潰されたカミューニは、声と気配で相手の位置を探るしか方法がない。魔導士ならば、魔力で位置を探るのも一つの手だが、あいにくノーランにはそれが出来ない。彼の使う力は、呪力なのだから。
「本当はシリルで実験の続きをするつもりだったが・・・今となってはそれも出来ないな」
「どういうこった?」
いまだに涙を流し続けているシリルを抱えたまま、ラクサスはノーランの問いに訝しげな顔をしてみせる。
「もともとこの実験をするのには誰でもよかった。ただ、シリルの魔力の力と強い想い、それがあればもしかしたらいい線までいけるかと思ったんだが・・・」
そこまで言うと、彼は自分の方を見向きもせず、雷竜の胸に顔を埋めている水竜に視線を落とす。
「心の砕け散ったシリルは、はっきり言って面白くない。それに、これから行う実験にだって耐えられるとは思えん」
そう説明した彼は、半身を黒く変色させ、目の白と黒の部分を入れ換えていく。
「お前ら四人とも、もういらない。消えろ」
「「っ・・・」
彼らに向けられたその手のひらに、次第に呪力が集められていく。やがてその手には、大きな呪力の球体が出来上がっていた。
「ラクサス!!そいつら連れてここから離れろ!!」
「お前はどうすんだ!!」
「なんとかすっから、早く――――」
このままでは全滅する。そう感じ取ったカミューニは友である大柄な青年にそう指示する。だが・・・
「散れ」
彼らが撤退するよりも早く、ノーランの手から呪法が放たれた。
シリルside
なんでウェンディたちが死ななきゃいけなかったんだ?
「ラクサス!!そいつら連れてここから離れろ!!」
なんでウェンディとシャルルが・・・二人が苦しみながらその選択を取らなければならなかったんだ?
「お前はどうすんだ!!」
俺たちが不甲斐ないからなのか?
「なんとかすっから、早く――――」
俺たちのために二人は・・・いや、違う。
「散れ」
こいつらがフェイスなんかを使おうとしなければ・・・
第三者side
「波動波!!」
ノーランの呪法が放たれたと同時に、カミューニは戦っている通路すべてを塞ぐほど、巨大な波動の塊を放出する。
「無駄だ」
だが、広範囲に放出したこともあり、その魔法はいとも容易く破壊されてしまう。
「な・・・」
「ヤバい!!」
迫ってくる光。しかし、それを防ごうにも、何をするのも間に合わな
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