第三話 幸福と孤独その十一
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「そうしたことはね」
「信じているわね」
「だから今のお話もね」
「信じるわ」
「そうよね」
「全て信じる訳ではないけれど」
それでもというのだ。
「私達三人は苦難を経ても幸せになれるのなら」
「そうであればいいのね」
「ええ、神のご加護があらんことを」
こうもだ、マリーは言った。
「私達三人に」
「はい、このままです」
セーラがマリーの今の言葉を受けて微笑んで返した。
「私達は三人で過ごしていきたいですね」
「そうね、何時までも」
「幸せに」
「この国が栄えて」
マリアも微笑んで言う。
「民も笑顔でいて」
「そのうえでね」
「私達もそうであったら」
「これ以上のことはないわ」
マリーはマリアにも笑顔で応えた。
「本当にね」
「そうね、私達はずっと一緒ね」
「そうでありたいですね」
「私達の国も」
マリーも言う、この国の王家の者として。
「神のご加護があらんことを」
「ええ、是非」
マリアが微笑んで応えた、そうしたことを話してだった。
そのうえでだ、三人は共に学び続けていた。常に。
だがマイラは違っていた、オズバルド公爵が教師となってもやはり彼女は一人だった。妹達と交わることはない。
そのうえでだ、司教に言うのだった。
「妹達は相変わらずですね」
「はい、お三方で」
「共に学んでいるのですね」
「そうです」
「その様なことをしても」
苦い顔でだ、マイラは何の装飾性もない樫の木の頑健なだけで極めて質素な机と椅子に座り書を開きつつ述べた。
「何になるのか」
「はい、何人かで学びましても」
「それでもですね」
「馴れ合いになります」
「その通りですね」
こう司教に言うのだった。
「どうしても」
「はい、ですから」
「私の様にですね」
「学問は一人で行うべきです」
「ああして共にいても」
三人でというのだ。
「身に入りません、それに君主は」
「そうです、常に一人なのです」
司教はマイラにこのことも話した。
「それでどうして共に学ぶ必要があるのか」
「馴れ合いは君主には不要ですね」
「そうです、王族ともなれば」
「即ち君主ですね」
「君主は己が常に一人であることを自覚し」
そしてというのだ。
「学ばれ然るべき時に備えるのです」
「では」
「はい、あの様なことをご覧になられても」
「私はそうならない」
「なってはなりません」
決してという言葉だった。
「マイラ様は正しき君主になられるのですから」
「ではこのまま」
「学びましょう」
一人でとだ、こうしたことを話してだった。
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