第三話 幸福と孤独その十
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「お振る舞いはです」
「誰に似ていたのかしら」
「王様に似ていました」
「そうなのね」
「そう思いました」
実際にというのだ。
「今のマリー様を見て」
「そうね」
マリアも言う。
「私から見てもね」
「お母様、そしてお父様に」
「そっくりだったわ」
こう言うのだった、マリアもまた。
「本当にね」
「そうなのね」
「若しマリーが君主になったら」
この場合は領主という意味だ、夫人としてその立場に立つこともあるからだ。ただ王の立場であるとは考えていない。
「叔父様と叔母様にそれぞれ似た」
「そのうえでなのね」
「いい君主になるわね」
「そうなればいいわね、ただ」
「ただ?」
「私は将来どうなるか」
未来を見つつだ、マリーは言った。
「それはわからないわ」
「そうね、そのことはね」
「神様がご存知ね」
「そうなるわね」
「ただ、どうも」
マリーは首を傾げさせてこうも言った。
「侍女の一人から聞いたけれど」
「侍女の?」
「ええ、その侍女が言ってたけれど」
それはというと。
「私達三人はそれぞれ大変なことがあるらしいわ」
「私とマリアと」
「セーラもね」
今ここにいる三人はというのだ。
「そうなるらしいわ」
「そうなの」
「けれど三人共最後は幸せになるらしいわ」
「大変なことがあっても」
「ええ、そう占われていたらしいわ」
「占いね」
それを聞いてだ、マリーは言った。
そしてだ、こうも言ったのだった。
「果たして当たるのかしら」
「お父様は信じておられないわ」
マリアはまた言った。
「そうしたことはね」
「そうね、叔父様はね」
「そうした人よね」
「ええ、そうしたものより」
占いよりもというのだ。
「現実をご覧になられて考えられる方だから」
「信仰はお強くとも」
セーラも言う。
「そうした方ですね」
「占いや迷信よりも」
「目で直接ご覧になられることをですね」
「信じられる方だから」
「占いは、ですね」
「一切信じられないわ」
それがマリアの父である大公だというのだ。
「あの方は」
「そうした方は珍しいわね」
マリーも大公のことは知っている、そのうえでの言葉だ。
「叔父様みたいな方は」
「ええ、占いや迷信の類を一切信じない方は」
「そうね」
「私もね」
マリーにしてもというのだ。
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