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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四四話 背水の陣
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―――」

「地球環境の激変……それはどの程度だ?」

 それを聞き、忠亮が真剣な表情に力を込めた視線で問う――――酷い既知感を覚える。おそらく、このレポートは事実だ。

「………少なくとも、ユーラシアという大陸は地図から消滅し、その正反対の大陸はすべからず人類の住めぬ大地となり果てるだろう。」
「そんなバカなこと……横浜だってG弾が落とされた後は異常は植生の回復がならないことぐらいのはず。重力異常も問題の無いレベルと―――」


「それはG弾の効果範囲が横浜という小規模な点であるからに過ぎない――――ユーラシアの全ハイヴに撃ち込もうモノなら、点ではなく面になる。
 人間にとっては大きいスケールだが、惑星にとっては蚊に刺された程度だ……しかし、それが面になると話は変わる。」

 恭子の言葉をさえぎって忠亮が言う。そうだ、あの塩の大地と気圧0の死の大地に海に沈んだユーラシア――その先に待つ結末は人類滅亡だ。
 例えば、拳銃の攻撃は点だ。その交換範囲は非常に狭いため確実に敵を撃破するには熟練が必要となる。
 それに対しマシンガンは連射することよって弾丸をばら撒き、点の攻撃を面の攻撃に変える。

 ―――それと同じことだ。

「多くの人間は、これはG弾推進派に対する嫌がらせにしか考えてはいないでしょう。あまりに荒唐無稽過ぎますからね……しかし、香月女史は真実を言わない事はあっても嘘は言わない。」
「……早急に既存兵器でのハイヴ攻略が可能という実績を作り、G弾推進派どもを黙らせないと日本という国の消滅どころか、人類存続の危機というわけか。」

 纏めた忠亮、その言葉は重い。その場にいる多くの人間が自分たちが思っていたよりも瀬戸際に居たのだと知らされる。

「無論、篁中尉にもこの計画には参加してもらいたいと考えてはいる―――しかし、それは最低でもXFJ計画が終了した後の話だよ。
 我々には篁中尉の成長を待ってから行っている猶予は存在しない。」

 そう締めくくった斑鳩崇継の言葉、摂家の使命を背負う嵩宰恭子の選択の余地もまた存在しなかった。

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