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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四四話 背水の陣
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が今携わっている黎明計画……X-1だが、その戦術理論を応用して次期主力機のベースモデルの開発を行ってほしい……極秘裏にだ。
既に基礎フレームのほうは完成している、あとはそれに見合う殻を拵えればいい。」
「完成していたのか!?」
驚きに目を見開く忠亮、当然だ武御雷の試作型がロールアウトしたのが一九九八年。たった三年前の出来事だ。
あまりに早すぎる。
「零式の開発という経験で様々な技術が蓄積されたからな、特に材料工学大きく進歩した。そして開発開始からカウントすれば十年近く経過している。
元々完成間際で製造されず放置されていた―――強いて言うのなら、これは篁の遺産、と言い換えることも出来るな。」
「篁の遺産……ならば、それを受け継ぐべきは己じゃないはずだ。アイツでなければ筋が通らない。」
「そうだな、だから名代として篁の主君として恭子。君の承諾を得たい。」
視線が蒼き鬼姫、嵩宰恭子に集まる。
「―――なぜ、唯依じゃダメなのかしら?」
「何れは携わってもらうさ……だが、今の篁中尉にそれを任せられるほどの経験があるとでも?」
「……それは。でもサポートを付ければ。」
「そういう主従逆転をすれば不和の元となる。それで失敗しては目も当てれられないさ。……XFJ計画で功績と経験を得た中尉ならば話は変わるのだけどね。」
「―――何をそんなに急いでいるの崇継?」
斑鳩崇継の言葉から、今すぐにでも取り掛からないと間に合わない。そのようにくみ取った恭子。
「―――逆に、何時まで猶予があるというだい恭子。こうしている間にも、何時BETAの大群が地下を掘り進み日本を蹂躙するか分からない。猶予など最早存在しないさ。」
「それは……」
「それに、どうやらアメリカで動きがあるらしい。早めに佐渡ヶを落とさねば米国を筆頭とした後方国家がこぞってG弾を撃ち込んでくるぞ。
………君は香月レポート、というのを知っているか?」
「いえ、知らないわ。」
首を横に振る恭子、するとそれに合わせ斑鳩崇継の横に控えていた真壁助六郎が前に出た。
そして、リモコンを操作するとプロジェクターの画面が移り変わる。
「香月夕呼、量子力学・生体工学などのエキスパート。横浜でBETAに関する研究と副指令の任についている……横浜の魔女と呼んだほうが分かりやすいだろう。」
「それぐらいは知っているわ。あまり良いうわさは聞かないのだけどね。」
「その香月博士が近日発表する予定のレポートです。
それによるとG弾による局所的重力異常……仮に全ハイヴでG弾がさく裂した場合、その本来局所的であった重力異常は一気にその範囲を広げ、空気・水の大移動・地殻の降下、天体の運行など様々な影響を与え地球環境を激変させると―
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