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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四四話 背水の陣
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に伴って生まれる疑問を恭子が投げかけた。

「一つは零式を開発する上での理由の本当の理由だ。………あの機体は元来、電磁投射砲を運用するのを最終目標として開発されたものだ。」
「つまり、最初からアレを量産する機なんて無かった―――という事か。」

 半ば吐き捨てるように呟く忠亮……本当にそうならば、量産型のC型なんて最初から要らない機体だ。
 本命はR型、他の武御雷は武御雷を実戦に投入させ、ネガを潰す為の踏み台でしかない。

 ―――しかし、武御雷の特性を考慮すれば確かに電磁投射砲を運用するためだけに作られたといわれても納得しかない。
 ………己自身も電磁投射砲を運用するのなら武御雷以外の機体は論外だという結論を下しているからだ。

「そして二つ目、この構想を実現するには技術が足りなかった―――故、篁公はこの構想を実現するための技術開発として零式開発を利用することにした。」
「なに……?」

「篁公はBETAの日本上陸には間に合わぬと悟り、その足止めとして零式を完成させ更に国内にハイヴが建造されたことを想定に置き、巌谷・横浜・煌武院家と結託して戦術機用の電磁投射砲の開発に乗り出した……という事だ。
 そして、戦局をBETA上陸前にまで巻き戻し、その次を卿が考案した次期主力機に任せる―――そういう算段だったのだろう。」
「………なるほど、そういう事か。篁中佐の想定は、政府が想定した国防策が正常に機能した前提でのスケジュールだった。」

「そうだ、知っての通り台風と並んでのBETA上陸。中国地方の陥落………篁中佐の目論見は大きく覆された。
 そして帝都京都は陥落、横浜にはハイヴが建造され第二帝都である東京の喉元まで迫ったBETA―――そこで、賭けに出た。」

「――――明星作戦か。」
「篁公が出陣したのは責任感だったのかもしれないな。或いは……贖罪なのかもしれない。
 しかし、残念なことに死人に口なし。彼の心の内までは測り知ることはできない。」


 忠亮の言う通り、生産性に劣る零式よりも此方を優先しておいたほうが良かったという悔恨の念があったのかもしれないと言外に口にする崇継。
 しかしながら、その賭けには結果的に勝ったといえる……電磁投射砲にはBETAが生成した元素、G元素が必要不可欠。
 つまり、どこかしこでハイヴを攻略しなければそもそも、完成に漕ぎ着けれる事はなかったのだ。

 そして、それに伴うBETAの一斉撤退と追撃による国土奪還――――被害は甚大だったが、篁中佐の目論見は成せたと見るべきかもしれない。
 ―――尤も、本人が語ったことではない以上真偽は定かではないが。

「それで崇継、私たちを此処に呼んだのは何の要件?これの説明だけ、というわけではないでしょう?」
「無論だよ。忠亮、卿
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