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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四四話 背水の陣
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――嵩宰の分家の一つ吉井家の人間である。
「――恭子様、閣下は最近頻繁に滋賀に足を運んでいたようです。非常に高頻度で斑鳩家所有のMRJが発進していたとの情報がありました……此度の件、何か関係があるやもしれません。」
「滋賀……?定信、細かい場所は分かる?」
「申し訳ありません、セキュリティガードが固く判別は付きません。」
申し訳なさそうに申し開きをする白い軍服に身を包んだ男性。それにしばし思慮を巡らせる。
斑鳩忠亮と自分をわざわざ集めての話、それが何かは今一つ判別が付かない。
「いいわ、そのうち分かるでしょう。その説明をするために私を呼びつけたのでしょうから。」
「そうでしょうが……昨今、斑鳩家の動きは少々妙なところがあります。次期主力となる戦術機選定に関する介入もそうですが―――まるで決起の時を待っているかのように感じ取れます。」
「……決起の時ね。」
「ええ、私には何か……いずれ起こりうる何かに備え、その機会を好機とすべく準備を行っている。―――そのように感じました。」
この吉井という男、勘がいいというのか断片から全体像を見通すのが得意だった。恐らく、その勘に間違いはないだろう。
あの斑鳩崇継というのは無駄な行為は殆ど無いのだ―――彼自身の興味本位での突拍子のない行動も多々あるためその精度はかなり怪しくなるが。
「……私たちに分かるくらいなら、当然あの男も薄々勘づいているでしょうね。その上で敢えて乗っている。―――剛毅というか、なんというか。」
「まったく、あれも大分難儀な男を選んだものです。」
「あら、兼定。貴女そんなに唯依のことが好きだったの?」
「……客観的な意見を述べただけです。」
眉間に皺を寄せ呟いた山吹の軍人を揶揄う恭子、図星を突かれたのか松平兼定の眉が吊り上がる。
「別に……ただ、順当にいけば自分の妻となったかもしれない女性が別の男といるのが少々気に食わないだけです。」
「そう、それならいいわ。男の嫉妬というのは無様だから。」
言い捨てる恭子の言葉にムスッと眉を寄せたままの松平兼定が然として言い返す。
「主君の御前で斯様な醜態、曝せません。」
「そう、なら貴方のその忠誠に感謝すべきかしら。憂いが一つ減ったのだから。」
眉間の皺が濃くなる松平、試されたという事に気づいたからだ。
「ならば重畳というもの。―――しかし私は兎も角、ほかの篁の資産を狙っていた連中は私のように物分かりは良くはない。
残念なことに篁家の御当主は未だ年若い姫君、実力云々、家格云々。言えることが如何程あろうともそこが最大の隙である事実は否定できない。」
帰化人事業家のような海外勢力、もしくは成り上がりたい野心家などの人間からすれば篁家の資産と特許な
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