第3章 リーザス陥落
第91話 サウスの戦い
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サウスへと向かう道中。
空気を悪くした、と言う事の謝罪をユーリはして回り、皆快く許してくれた。気持ちはわかる。皆同じ気持ちだと、特に志津香には諭された。
『1人で気張るんじゃないわよ』
そう言って、志津香から軽くデコピンを額に受ける。このときばかりは、誰も茶化さず、皆 笑顔で見ていた。
色んな意味で頭の中に響く思いだった。
「……オレもまだまだ 青いってこと、だな……。これじゃガキ、って言われても こんな様じゃ否定できない、か。……んっ!」
もう一度、ユーリは頬を叩いた。
気を持ち直す為に。
これから向かう相手を思い描く。
相手の性質を何度も頭の中で再確認をする。
カラー達の誘拐事件でも、大体想像をしていたが、今回は更に極まる。
云わば何でも有り。性質は残虐極まりなく、己以外の命をごみ同然にしか思っていないであろう冷血、酷薄な人物。これまでの ヘルマン軍を相手にしてきて、トーマの部隊、と言う大例外を除けば お世辞にも 敬意を示せる様な相手、愛国心は除いたとしても、それでも、騎士道精神を、捕虜の扱いを考えれば、それらを持っていた様な相手は、殆どいないと思える。
だが、それでも 苦渋の選択ではなく、本当に初めから仲間の命を使った特攻をさせる様な手合いはいなかった。リーザス、自由都市の者達を見下してはいても、同じ祖国の騎士達の命を道具とする様な相手はいなかった。
そんな相手だ。感情の昂りを、その隙を付いてくるとも思える。……恐怖、と言う行為を筆頭に、植え付け、更に人心把握にも長けているとも分析できる。
「……よし」
サウスの町は、もう直ぐだ。目の前の山をもうひとつ超えた先にある中腹に建てられた町だ。故に、同じような手をしてくる可能性も多いにあるだろう。
ユーリは、清十郎とリックに問いかけた。
「以前の様な真似をしてくる可能性は高い。崩落させられた時、町は、町の住人を助ける事は出来るか?」
リックは、それを訊いて少し考える仕草をした。
清十郎は即断。
「崩落とは言え、岩程度であれば、防ぐ事は出来る。……無論、広範囲は無理だ。町そのものを破壊する勢いの崩落を起こされたら……厳しいな」
あくまで、自分達はリーザス解放軍だ。ヘルマンを倒す為に戦いを続けているのに、町を破壊されてしまっては、本末転倒だともいえる。
「ユーリ殿」
「ん」
リックは、考えが纏まった様で、一歩前に出てユーリに言った。
「我々は、問題ありません。……軍のメンバーには、戦況を見て、迅速に退避させるタイミングを見誤らなければ。清十郎殿と同じく、落石を破壊するのは容易く」
そう、力量を考えれば、如何に崩落とは言え 相手は大
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