第3章 リーザス陥落
第91話 サウスの戦い
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衆びた笑みを見せる姿は、焼き付いている。
「(ぐ……、もう、我々の部隊しかいないか。……当然、背後のミネバ隊は、我々も狙っている筈だ……、ここは何としても、トーマ様の為にも、危機を脱し 国許に訴えるしかない。――人の皮を被った悪魔を罰する為にも)」
中隊長の男は、並々ならぬ覚悟をもって、戦闘をしている。
それを全員が知っているのだ。負けられない戦いだという事を。トーマの部隊と言う高い誇りも持っている。
だが――――皮肉にも、誇りの高さが、思いの強さ故に、ミネバの最後の指示を仰ぐ事になるのだ。
「さぁて……、そろそろいいかね。リーザスの死神に、更にアレが噂の鬼かい……。死神の名は兎も角、全く無名の戦士が大袈裟な大層な名だと油断してたが、間違いないみたいだ」
身体を掠めた攻撃、それは纏わりついてくる刃。まるで蛇の様だ。乱戦故に、他者を利用する事で、回避する事は容易にできた様だが、明らかに異常な能力を目の当たりにしたミネバが更に警戒を強めたのは言うまでも無い。
「あんな化け物相手に、正面から行くってのは、馬鹿がするもんさね。その上死神もいると来てる。……纏めて始末しない手はないさ。邪魔なものはまとめて大掃除、ってなぁ!」
ミネバは、勢いよく手を上にあげた。
それを見た側近が、後方に控えた兵士が大きく旗を振った。
それが合図だった。
軈て、見上げた先の鉱山から、あの時の再来。……始めは小さく、地響きのようなものが伝わり始めた。それは徐々に大きく、広がりつつある。
「おっ……!?」
「く……、こ、これは……!!」
地震の様な振動、そして 大地の鳴動。足下、と言うよりは頭上から、山から聞こえてくる。
「あの時と同じ……! あの外道……っ!」
ぎり、と歯を食いしばるレイラ。
だが、再び惨劇を繰り返す訳にはいかない。何よりも今回は――ただでやられる訳ではないのだから。
「ふん………、悪魔より、悪魔っぽい女は初めてだ。……まぁ ある意味ではロゼも似たようなとこはあるが、種類が違う」
空から、鉱山を見たフェリスは そう呟く。
おそらくはプチハニー。着火に炎系の魔法を使ったのだろう。岩雪崩、と言うよりは、一際大きな1つの岩。……部隊を全員押しつぶす事が可能な程の大きさの岩が、今にも崩れ落ちそうになる。
いや、崩れ落ちるのも時間の問題だ。アレが落ちれば、鉱山の斜面を削りながら、迫ってくるだろう。山を削り、町を押しつぶす 天災と言っていい巨岩だった。
だが、この展開を待っていたのは、ミネバだけではない。ランスも同じだった。
「来た様だな! よーし、シィル。ユーリとマリアに合図だ。やれ!」
「あ、は、はいっ!」
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