異伝〜未来への系譜〜
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クスの状況を報告します。」
「ああ。……報告を頼む。」
「センタクスは完全にユン・ガソル軍の制圧下にあります。守備隊は壊滅し、ノイアス元帥もまた生死不明の状態。そして、東門付近にてユン・ガソル軍のの指揮を執る敵将、三銃士エルミナ・エクスの姿を確認したとのことです。」
「噂に名高い三銃士が相手か………」
メルキア兵から情報を聞いたヴァイスは考え込み
「エルミナ・エクス、三銃士の中で軍務全般を担当する才女。私達とそう歳は離れていませんが、幾多の戦場で勝利を収めた歴戦の名将………敵に対しては一切の容赦をしない苛烈な性格だと、軍の報告書で見た記憶があります。」
リセルは自分が知る敵将の情報を説明した。
「なるほど、鋼鉄の軍師とはよく言ったものだ。一筋縄ではいかない相手のようだな………報告ご苦労、作戦は追って指示する。準備を怠るな。」
「承知しましたッ!失礼致します!」
ヴァイスの指示にメルキア兵は会釈をした後、走り去った。
「俺達の存在は気付かれていると思うか?」
「今しばらくは大丈夫でしょう………ですが、時間の問題とは思います。敵兵との遭遇こそ避けられましたが、強行軍であったため痕跡を隠す余裕がありませんでした。」
「ならば優位に立てる時間は短いな。別働隊である俺達の戦力は決して多くない。それに比べ、先の一戦で消耗しているだろうが、未だユン・ガソル軍の戦力は我々を上回っている。今回の目的は都市の奪還。攻め手は相手の数倍の戦力を用意するのが定石だ。少数で挑むにはあまりにも無謀な作戦………だが、今と言う状況ならば、その無謀が勝利へと繋がる。」
「ユン・ガソル軍は籠城を行おうにも、センタクスの防御力は2日前の決戦で大きく削られています。補強は行われているでしょうが………この短期間で、失った防御力を完全に回復させることは不可能です。街には数万の市民がいるとはいえ、ユン・ガソル軍に従う人はそう多くないでしょう。また、ユン・ガソル連合国の主力は攻城兵器です。あらかじめ襲撃に備えていたのならばともかく、この状況ではその性能を活かすことはできないでしょう。」
「さらに、ユン・ガソル軍の意識は本隊に向いている。別働隊である俺達の存在には、未だ気付いてはいない。本隊の戦況が思わしくないことがセンタクスの街を前線から遠ざけ、油断を生んでいるはずだ。そこを突き、南からユン・ガソル軍に奇襲を仕掛ける。北から来る本隊への警戒を強めている以上、南からの奇襲への対応は、僅かながら隙を生む。奇襲の混乱から回復する前に敵将を討つ。」
リセルと作戦を相談し終わったヴァイスは不敵な笑みを浮かべ
「ヴァイスハイト様………何だか、嬉しそうですね。」
ヴァイスの様子に気づいたリセルは口元に笑みを浮かべて言った
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