第6章 流されて異界
第143話 災いなるかな……
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う。この選択肢も、今では難しい。多分、彼女は昨夜から今朝に掛けての戦いで、俺の次に消耗している。朝の段階で俺がハルヒに電話を掛けて置けば、その時に手を打つ事を思い付いたかも知れないが、今から弓月さんをたたき起こして、新しくもう一部屋用意してくれ、と言うのは流石に……。
一人で街の観光は……つまらない。旅館と言っても、派手なロビーがある訳ではないし、そもそも、ここは営業をしていない。
結局、最初から詰んでいると言う事か。
心の中でのみため息をひとつ。朝から……と言うか、この部屋に帰って来てから何回目のため息か分からないけど、今回に関しては絶対にハルヒに悟られる訳には行かないため息。
ただ、その代わりに、ハルヒの顔をじっと見つめる俺。先ほど外したメガネはそのままテーブルの上に。
「何よ?」
突然、妙な目つきで自らの事を見つめ出した俺の顔を、訝しげに見つめ返すハルヒ。但し、その声の中に差し迫った脅威を感じている様子はない。
……これは、俺の事を男として見ていないのか、それとも完全に安全牌だと高をくくっているのか。
もしくは俺に対して完全に心を許しているのか……。
俺の身体能力なら普通の人類を組み伏せる事など訳もない事を彼女も知っているはず。
おそらく、信用しているのと、安全牌だと考えている、……の合わせ技ぐらいだろう、そう考えながら、
「いや、傍に他人がいる状態で眠るのが何時以来になるのか、と考えて」
中学の修学旅行は色々とゴタゴタが重なって無理だったから、もしかしなくても小学校の修学旅行以来の事になるのか。
俺の両親が事故で死亡した、……と言う内容は彼女も知っている。
「一応、俺って修行をして術を身に付ける必要のある家に産まれたから、物心ついた時には、その延長線上で自分の部屋に布団を敷いて一人で寝るように成って居たんや……」
せやから、そんな事を考えた事はなかった。
半分までは本当。残りの半分は嘘。そう言う内容の言葉を口にする俺。
出自は事実。幼い頃……小学校に入学するよりも前の段階から俺は術の修業を行っていたし、その延長線上の理由で、夜は一人で寝るように成って居たのも事実。しかし、タバサに召喚されてからは、常にタバサが傍に居る状態で。そして、有希に召喚されてからは、常に彼女が傍に居る状態で眠って居た。
それは……と言ったきり、言葉に詰まるハルヒ。おそらく、彼女としては少しの我が儘。多分、ふたりの距離感を探ろうと口にしただけ、の心算だったのでしょう。彼女の言葉を聞いて、それでも尚、出て行ってくれ、……と俺が言えば素直に出て行ったと思う。
しかし、俺から返された答えは、普通に聞くとかなり不幸な生い立ちのぶっちゃけ話。これは、答えに窮したとしても不思議ではな
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