第6章 流されて異界
第143話 災いなるかな……
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も成らずに、自分の足で彼女の元に歩いて戻って来たのだから、それは評価して貰いたい。
「ふん、まぁ無事に戻って来た事だけは評価して挙げるわよ」
敢えて、そっぽを向いて、そう小さな声で答えるハルヒ。……と言うか、これでは俺に対して答えたのか、それとも独り言を口にしたのか分からないレベル。
いや、おそらく本人は独り言を呟いた心算なのでしょうね。そう言う……少しの陰の気配を彼女が発しています。それに、そもそも、ふたりきりの部屋。それもテレビや、その他、余計な音を発生させる機器が一切、使用されていない室内で有るが故に聞こえた、と言うレベルの声でしたから。
尚、今、ハルヒが臭いと表現したのは、おそらく俺の気配の事。
俺が渡した護符を普段から身に着けている彼女は、おそらく俺の気配に関してはかなり敏感になっているはず。それに、そもそも、その程度の気配を発して置かなければ護符の役割など出来ません。
有象無象に対して、コイツは俺の関係者だから手を出したらタダじゃ置かないぞ、そう言う剣呑な気配を発して置かないと、ハルヒの場合は危険過ぎますから。
俺に対するハルヒの挑発が不発に終わり、室内に何と言うか、少し気まずい沈黙が降りて来る。
……と言うか、ハルヒはそっぽを向いた切り、こちらを見ようともせず、
俺の方は眠い目を擦りながら、湯呑みに手を伸ばしかけ……。
「何、もう一杯、お茶が欲しいの?」
空になった湯呑みを手に、次に何をしようか途方に暮れかけた俺に、話し掛けて来るハルヒ。
いや、俺は別にお茶が飲みたい訳ではなく……。
「ところでな、ハルヒさん」
俺としては、出来る事ならもう寝たいのですけど……。
ふたりきりの部屋で何を言い出すのか、と言う内容の言葉を口にする俺。……と言うか、十七歳と言う年齢にしては、こう言うシチュエーションに遭遇した経験は多いとは思いますが、そうかと言って慣れるような物でもない。
もっとも、それイコール、女性経験が豊富か、と言われると、それは違う。……と答えるしかないのですが。
……少なくとも、今回の人生では。
それに、今までは部屋の主はタバサであり、長門有希であったので、俺としては下手に出るしかなかった弱い立場。所謂、居候状態だったのですが、今回は俺が部屋の主。ここまで下手に出る必要はなく、素直に出て行ってくれ、と言えば良いのでしょうが……。
しかし……。
「寝たいのならどうぞ。布団を敷くぐらいなら手伝ってあげても良いわよ」
何なら、あんたが眠るまで手でも握っていてあげましょうか?
しかし、涼しい顔で、そう答えるハルヒ。……と言うか、コイツ、状況を本当に理解しているのか?
「いや、其処へあなたに居ら
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