第6章 流されて異界
第143話 災いなるかな……
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当に何らかの危険な事件が発生し掛けて居るような兆候があるのなら、有希や万結が報せに来るはずなので、その心配はない……と思う。おそらく、これはハルヒ発の事態。
多分、思い付きか何か、なのでしょうが。
室内は空調システムにより快適な温度に調節されている。障子によってその外側のガラス窓から先の状態は気配でしか知り様がないが、それでも昼か夜かの違いぐらいは簡単に分かる。
今は満月からは少し欠けた立待月の夜。
夜に何かをするって……。
「あら、珍しく鋭いわね」
同じようにアンパンの袋を破りながら、感心したように俺を見るハルヒ。
しかし、失礼な奴だな。俺は鈍い訳ではない。分かって居ても無視しているだけだ。細かい事にいちいちツッコミを入れていたら、話が進まなくなるだろうが。
特に、ツッコミ所が満載のオマエに関しては。
……などと話がこじれる事が間違い無しの台詞が喉元まで出かかったのを、アンパンと一緒に無理矢理呑み込む俺。
その刹那、あまり噛まずに呑み込んだパンと、喉元まで出かかった台詞とが正面から衝突。
そして――ムグ?
「はい、人はパンのみにて生くるに非ずよ」
頼りがいがありそうに見えて、意外に慌て者よね、アンタは。……などと、誰の所為でこうなったと思って居るのだ、と言うツッコミ待ちの台詞を口にしながら、自ら用の瓶牛乳を差し出して来るハルヒ。
……と言うか、妙に世話焼きさんな一面も魅せているな。
「――すまない」
差し出された牛乳を飲む事により、危うく神の御許に旅立つ危機からは脱する俺。尚、ハルヒの台詞に、それはそう言う意味じゃないから、などと言うツッコミはなし。ついでに、パンが無ければケーキを食べれば良いんだよ、と言う、ボケにボケを重ねる手法も今回はなし。
「良く考えると、これが今日初めての食事なんだよな、俺」
結局、無難な答えに落ち着き、未だ蓋すら開けていない俺の方の牛乳を彼女に差し出す。
一瞬、何故か躊躇いのような気を発したハルヒ。しかし、直ぐに差し出された牛乳を受け取った。
コイツ……もしかして、俺が飲んだ方の牛乳を返して来ると思ったのか?
「それで、俺を無理矢理に起こした理由は何や?」
一瞬の躊躇いの意味はその辺りか。そう見当を付けながらも、その辺りに関しては華麗にスルー。現実問題として、これ以上、踏み込むのは色々と問題がある。
少なくとも、ハルヒは俺がハルケギニアで非常に危険な事件に巻き込まれている事は知らないし、これから先も知る必要はない。
……知れば間違いなく、何らかの能力を発動させて仕舞う。
それでなくとも……。
「ああ、それね――」
そう言いながら、何故か自らが食べかけのアンパンを半分に割り、口を
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