第23話「じゅうしょう」
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いいんだけど....。」
蘭がそう言う。確かに、治せれたらいいが...。
「難しすぎる...。由紀だって、あの安全な環境下で落ち着いたからこそ、現実を見るようになったんだ。...悠里の場合は、過酷な環境下で、妹がいないと認めたくないからああなったんだろう。...だとすれば、あの学校と同じ環境下にしない限り...!」
「...先輩が治る可能性は低い...ですか。」
圭が俺の続きの言葉を言う。
「...一応、手っ取り早く治す方法はあるんだ。だが、これは賭けだけどな。」
「...それって?」
「まだ生きている可能性のある、本物の妹に会わせる。」
足跡は二つあった。片方は大人で、片方は子供。
...正直、分の悪すぎる賭けだ。
大人の方はともかく、子供の方は何百分の一の確率だからな...。
「足跡があったのに、誰も居ない...おまけに、探索した時は食料の一つも見当たらなかった。...だとすると、違う場所に移動した可能性が高いんだ。」
「...そうか。私達も同じようなものだしな。」
車か徒歩かというだけで、俺達と同じ状態だからな。
「...それに、決めつけになるけど、あの大人の足跡は母さんだ。」
「...一応、理由を聞いてもいいですか?」
「バリケードがあった教室の、その隣の部屋...まぁ、一瞬だけだったけど、その中にあった死体はあまりにも的確に頭を潰されていた。」
理由を述べてる途中で、胡桃が少し顔色を悪くする。
...あー、そう言えば随分ひどい有様だったしな。
「...そんな事できる一般人は、いないだろう?」
「...言外に自分の母親を一般人扱いしてないよな...。」
「いやぁ、さすがに一般の家系とはもう思えないし。」
隠し武器がある時点で...なぁ?
「それに、もし母さんじゃなかったとしても、あそこまでの芸当のできる人物だ。もう一人の子供は無事だろう。」
「...もしその子が悠里ちゃんの妹であるならば...って事だね?」
「ああ。」
...こんな状況じゃ、あまりに都合がよすぎる考えだ。
「拠点を変えるとすれば、俺達のように家を借りているか...大学だな。」
「やっぱりそこに収束するんですね...。」
「学校ってのは、案外拠点にぴったりだからな。」
避難場所としても使われるし、行く可能性は高い。
「...だから、どの道大学に行くのは変わりない。」
「でも、その間悠里先輩は...。」
「...そのまま...だろうな。なに、悠里が現実逃避しているのは、妹...もしくは同じ子供を助けれなかったという事だけ。由紀みたいに、今の現実そのものから逃避し
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