第17話 超必殺! これが俺の番超拳だ!
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その日、轟番は頭を抱えていた。普段から悩みとは無縁とも言えるその番が頭を抱えて悩んでしまっているのだ。
恐らく、きっと明日はみぞれが降るであろう。などと冗談はこの位にして、とにかく番は今激しく悩んでいるのであった。
「どうすっかなぁ……まさか、木刀ブレードを折っちまったからなぁ」
それは、前回の戦いの時であった。ケンゴウ星人との激闘を邪魔してきたワルダー星人達を倒した際に、勢い余って奴らが持っていた木刀ブレードを折ってしまったのだ。
ダイバンチョウの超必殺技を放つ為には木刀ブレードの存在は必要不可欠な物である。その木刀ブレードをまさか自分の手で折ってしまったとは、古今東西勇者作品の中であったであろうか。
恐らくはない。自分自身の手で自分の得物を壊す勇者など居る筈がないのだ。
今、目の前に居る番を除いての話ではあるが。
「何時になく悩んでるじゃないか番。こりゃ明日は雪でも降るかも知れないねぇ」
『その通りじゃのぉ。おまんが悩むなんぞ珍しい事ではないかぁ』
「るせぇ、俺だって悩む時は悩むんだよぉ」
回りでは頭を抱えて悩んでいる番を面白がっている茜達の姿がある。彼女らも頭を抱えて悩んでいる番は相当珍しいらしく、弄り甲斐のある玩具扱いしている。
「腐ったってしょうがないじゃないか。元々自分の得物を砕いたあんたが原因なんだからさぁ。自業自得とはこの事を言うんだろうねぇ」
「ほっとけ。だからこうして悩んでるんじゃねぇか!」
「あっそ。んで、何か答えは見つかったのかい?」
「………」
茜の問いに番は黙り込んでしまった。つまり答えは見つかっていないと言う事だ。そんな番を見て茜は深いため息を吐く。
「ったく、柄にもなく悩んじまって、バカらしいねぇ」
「んだとぉ!?」
「大体、必殺技なんてのはねぇ、てめぇの体を使って出すもんだろう? 得物を使っての必殺なんざ必殺じゃないね」
「た、確かに……その通りかも知れねぇな」
茜の最もらしい言い分に番自身も頷いてしまった。確かに、考えてみれば茜の操る紅バンチョウの必殺技は十時方向から同時に繰り出される蹴り技だ。つまり、彼女は己の体を武器として戦っている。それに対し、ダイバンチョウは今まで木刀ブレードと言う得物を用いた必殺技ばかりに頼っていた。
だから、いざと言う時に必殺技が使えなくなってしまうと言う事態に陥ってしまうのであろう。
今が正にその状態だったりするのだから。
『あのぉ……それだったら木刀ブレードを修理するって考えはダメなんですか?』
恐る恐る、レスキュー番長が手を挙げながら進言する。気が弱い為か控えめに言ってるのが見て取れる。
そんなレスキューの言葉を聞き、番は再度深く項垂れてしまった。
「それが出来りゃ苦
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