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第一章
ヘビーローテーション
もう頭から離れない。寝ても起きても。
夢にまで出て来る。しかも毎日だ。
僕は彼女のことしか考えられなくなっていた。それで周りにも囃される。
「おい、あの娘いるぜ」
「今日も可愛いよな」
「御前の方見てるんじゃないのか?」
こう言ってだ。僕を囃してくる。そしてその僕も。
彼女を見てしまう。見ずにはいられない。そして見てしまうとだ。
彼女から目を離せなくなってしまう。ガン見になってしまう。それでまた囃されるけれど。
どうしても見てしまう、これの繰り返しだった。その繰り返しの中で。
彼女が歌っているのを聴いた。奇麗な歌声だった。上手かというとまあ下手じゃないという位の歌だったけれどその奇麗な歌声を聴いてから。
その歌が耳から離れない。それでまただった。
歌も起きても寝ても、いつも頭の中にかかってくる。もう毎日あの娘のことばかりになっていた。
そんな僕にまただ。周囲が言ってくる。
「で、あの娘好きならな」
「もう告白しろよ」
「そうしたらいいだろ」
「簡単に言うけれどさ」
それでもだと。僕は困った顔で周りに返した。
「そんなのできたら苦労しないよ」
「おいおい、内気だな」
「そう言うのかよ」
「好きだよ」
自分からだ。僕は言った。
「もう頭の中にあの娘のことしかないよ」
「それでも言えないのかよ」
「告白な」
「ああ、全然無理だよ」
告白どころじゃなかった。もうあの娘のことを想うだけで心臓が破れそうになる。
そんな状況で告白なんてとてもだった。
「こんなのじゃ。もうお喋りだってさ」
「だよな。喋ることすらしてないもんな」
「あの娘とな」
「会うと苦しくなるんだよ」
それが今の僕だった。
「もうそれだけでね」
「ベタ惚れだってんだな」
「もうどうしようもないんだな」
「ベタ惚れっていうんだ、こういうことって」
言われた僕の方が思った位だ。自分ではそうした状況になっている自覚はなかった。というかベタ惚れという言葉の意味も今わかった位だ。
「そうだったんだ」
「そうだよ。もう夢中じゃねえか」
「あの娘のこと以外考えられないんだろ」
「それじゃあもうな」
「夢中って言うんだよ」
「ベタ惚れだよ」
周りは僕に次々と言ってくる。そしてだった。
あれこれと言われて僕は余計に彼女のことを意識して。胸が苦しくなった。
張り裂けそうっていう状態もどんなものかもわかった。とにかくあの娘だけが目に入って。
それで来る日も来る日もあの娘のことばかり考えてた。けれどその中で。
ある女の子達にだ。こう言われた。
「ちょっといい?」
「今日の放課後空いてるかな」
「まあ。
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