第十四話 表に出てきてその七
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「誰であってもね」
「若しそれが姉さんでも」
「血がつながっている人が誰でもいい人かしら」
優子は自分を見て問い返した弟にだ、あえてこう問い返した。
「果たして」
「そう言われたら」
「私達の叔父さんでもいるでしょ」
「お父さんの従兄の」
「あの人はどうかしら」
「よくない人だね」
その親戚についてだ、優花は苦い顔で答えた。
「お酒飲んで家族の人に暴力振るうし」
「酷い話が多いわね」
「うん、仕事はしないし他の人の家に図々しく上がり込んで御飯食べたり」
「そうしたことをする人いるでしょ」
「だから親戚でも」
「私でもね」
即ち姉でもというのだ、血縁関係にある。
「信用出来ない場合もあるのよ」
「その人がどうかなんだ」
「絶対に信用出来ない人はね」
「身近にいることもあるんだね」
「そう、親戚にもね」
「だから人はよく見ないと駄目なんだね」
「その人が親戚でもどんな立場でもよ」
それこそというのだ。
「その人自身を見ることよ」
「そういえばお巡さんでも悪い人いるね」
「ええ、そうでしょ」
「学校の先生でもヤクザ屋さんみたいな人がいるし」
学校の教師は悪事が狭い世界故に表に出にくいのでどうしてもそうした輩が残ってしまうのであろうか。
「気をつけないとね」
「絵を描く人でもそうでしょ」
「悪い人いるよ」
「そうでしょ」
「芸術家でも問題のある人いたし」
人間的にだ。
「だからだね」
「その人がどうした立場であるかじゃないの」
「その人自身だね」
「私もそのことは知らなかったの」
「昔は？」
「ええ、お医者さんは誰でもいい人と思っていたわ」
自分自身の経験からもだ、優子は弟に話した。
「それこそね、心の何処かで」
「けれど実際は」
「そう、お医者さんでもね」
「やっぱり悪い人いるよね」
「とんでもない人がね」
「そうだよね」
「お金に汚くて患者さんのことはどうでもいい人が」
具体的な例としてだ、優子はこうした輩を話に出した。
「いたから」
「お医者さんにもいて」
「どんな場所にもいるから」
「そうした人には気をつけないといけないんだね」
「そのことにはくれぐれも気をつけてね」
「わかったよ、姉さん」
優花は確かな声で姉に答えた。
「僕これまでもね」
「そうした人には気をつけてそうしてね」
「生きていくよ」
「そうしてね、お願いするわね」
「そうしていくよ、だからね」
「だから？」
「姉さんと龍馬を見て」
そしてというのだ。
「信じることにするよ」
「私達の心を見て」
「どう考えても姉さんと龍馬は信用出来るから」
そうした人達だからというのだ。
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