第四話
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声の主は今まさにコルベールの悩みの種である張本人であった。だうやら自身の持ち物を返してもらうために自ら取りに来たのであった。
このままでは八方塞がりだったのでコルベールは神田を招き入れ話を聞くことにした。
「これで会うのは二度目ですね。私、トリステイン魔法学院の教官のコルベールと申します。汚いところですが、どうぞゆっくりしていってくださいミスター…ああ、失礼ですが名前を聞いても?」
彼は神田とだけ答えた。
「ミスターカンダどうぞ座ってください。では、早速ですがいくつか質問させてもらってもよろしいですかな?」
「ああ、こちらも聞きたいことがあるからそれは構わんが、その前に俺の持ってた黒い刀と丸い生き物がここにあるだろ。それを先に返してもらいたい」
「ええ、良いですとも」
コルベールはこれはカタナと云うものなのか、そんなことを思いながら六幻とゴーレムを彼に手渡した。
彼の顔を見ると心なしか安堵しているようだった。
質問は出身から趣味まで多岐にわたるものであり、神田はエクソシストの事には触れないように職業は町の警備と答えつつ、神田からも質問を行った。
長きにわたる質問はお昼休みになるまで続いた。
「なるほど、ミスターカンダは町の警備隊の一員でしたか。いやはや、道理でそのカタナを帯剣しておられるのですな。」
「ああ、俺の仕事にこの刀、六幻は必要だからな。それとこのゴーレムもな」
そう言って丸い生き物を眠りから解き放った。目覚めた生き物は羽をパタパタさせ動作確認をしているようだった。
コルベールはその姿を見て彼から聞いていた通りやはり蝙蝠の類いだと思った。
「じゃあ、そろそろ俺はあいつのところに戻るが、どこにいるかあんた分かるか?」
コルベールにしてみれば一生徒の動向などいちいち把握しているわけではないが、貴族の行動パターンなんて高が知れている。そう思って彼女がほぼ確実にいるであろう中庭の場所を告げた。
「そうか、確かに食後の休憩をしていてもおかしくない時間だな。…世話になった、感謝する」
「こちらこそ感謝します、ミスターカンダ。それでは明日学院長の部屋にお二人で来るようミスツェルプストーに伝えて下さいな」
神田はああ、と短く返答するともう用はないと言わんばかりにそそくさと部屋を出ていった。
ただ一人散らかった部屋に残された彼は神田との会話を反芻した。
(彼に施されたルーンは蓮の花というゲルマニアらしいという以外に目立った特徴はなかった。一方彼自身については戦闘になれば分からないが何か傑出した能力を持っているようには見受けられなかった…これをどうオールドオスマンに報告したらよいものか)
ぐー
今まで黙っていた彼の身体が主張を
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