第四話
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後
竜の耳垢、竜の血液など真偽が定かではない怪しいものが散乱している机上で「炎蛇」ことコルベールが着衣の乱れも気にせずに神田の六幻とゴーレムの解析を行っていた。目の下には寝ていないのか隈が出来ている。
コルベールは神田の持ち物に何か手掛かりとなるものがないか探している中で昨日の事に思いを巡らせていた。
該当なし…
それが、キュルケのサーヴァントに刻まれたルーンの解析結果であった。
時刻はサモン・サーヴァントにおける全ての工程を終えて数刻後に遡る。
コルベールはキュルケの召喚したサーヴァントのルーンを見たことがなかったので、学院の図書館にて解析する作業に取りかかった。ルイズの召喚したサーヴァントのルーンも見たことがなかったが、優先度はキュルケのそれよりも低かった。何故ならキュルケがゲルマニアからの留学生であるからであった。キュルケがただの人間を召喚しましたと報告すれば、ツェルプストー家は学院にどのような教育を施してきたのか詰問するかもしれない。それだけならまだ良いが、他国の貴族がトリステインへの留学に躊躇いを覚え、少なくない留学生を受け入れているトリステイン魔法学院の教育機関としての信用が失墜する可能性もある。
またキュルケはトライアングルのメイジであることも優先度が高い一因であった。火竜や幻獣などを呼び出したのでなければ、何か特別な付加効果を持つルーンが施されているはずだ。そうでなければ彼女のような優秀なメイジが人間を呼び出すはずがない。
そこまで考えたところでコルベールはサモン・サーヴァントの指導教官としての責務を果たすためこうして図書館に足を運んだのである。
彼は始めから一般区画ではなく教師のみ閲覧が許される「フェニアのライブラリー」の区画で検索を行った。しかし、ルイズの使い魔のルーンが始祖ブリミルの使い魔「ガンダールヴ」のルーンと一致することが確認できたが、キュルケの使い魔のルーンはどれにも該当しなかった。
ルーンがダメなら持ち物の解析だ。そう思ったコルベールはキュルケから預かった六幻とゴーレムの解析を始めた。だが、六幻は彼にとって珍しい反り曲がった剣という印象しかなく、ゴーレムに至っては主人と離れているためかずっと眠りこけており、蝙蝠だろうとの結論に至った。何も手掛かりがない。しかし、ここで諦めるような術をコルベールは持ち合わせていなかった。何か1つでもキュルケの使い魔が人間でも優秀であること証明できるような手がかりを求めて解析作業を続けて今に至る。
これは本当にまずい状況になってきましたぞ…
解析を始めて既に半日が経とうとしている。それでも尚1つも見つからない手掛かりにさすがのコルベールも焦燥に駆られていた。そんなときだった、ドアがノックする音を聞いたのは。
「ここに俺のモンがあると聞いたんだが」
[8]前話 前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ