第113話
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「そんな単純な話やないことは”輝く環”の一件からもわかる。人の願いを無制限に叶えてしまう女神の至宝………その恩恵に溶してもなお、人は破滅を避けられへんかった。多分、同じことを繰り返すだけなんとちゃうかな?」
「………………………」
「………そしてその事は姉さんが一番良く知ってるはずや。騎士になっても力に頼らず、考えを尽くし、努力も惜しまずにより良い結果を求めた姉さん………絶望に消えようとしていたオレを強引に連れ戻してくれた姉さん………それは多分、世界が決してオレらに都合がいいものでは無いということを知ってたからこそ出来たことや。唯一、人が人に働きかけ、より良い結果を導こうとする事で、世界の在り方を優しくできる………そう、思ってたんとちゃうかな?」
「………………………」
穏やかな目をして語るケビンの問いにルフィナは何も答えず、両目を閉じて黙り込んでいた。
「リース達と一緒に”煉獄”に落ちてオレはようやくそのことに気付けた。するとな………今までのオレがなんてちっぽけな存在やったか改めて思い知らされたんや。姉さんが自分を犠牲にしてオレを救った真意も考えず………母ちゃんから逃げずに何をしてあげられたかも考えず………ただ『罰』を求めることで結果的に赦してもらおうとした甘ったれのガキみたいなオレ………そんな………ありのままのオレが見えてきた。」
「ケビン………」
一方リースは驚きの表情でケビンを見つめた。
「でもな………今はそれでいいと思う。姉さんが立っていた場所がやっと見えた気がするから…………そこに向かって少しずつでも歩いていける自信が出てきたから………だからオレは………やっと今のオレ自身を認めてやれそうな気がするんや。」
「フフ………開き直ったのですね………」
「ああ………その言葉はここにいる皆に共通する言葉だ。」
「ええ………」
ケビンの答えを聞いたシルフィアは微笑み、ヴァイスとリセルは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「………………………フフ、どうやらお灸が効きすぎてしまったみたいね。でも、そんな風に『私』を過大評価していいのかしら?ここは”影の国”………想念が世界に影響を与える地。今のあなたでは『私』に届かないのなら………『私』に勝てる道理もない。」
「姉様………」
目を閉じて黙って聞いていたルフィナが目を開いて口にした説明を聞いたリースは複雑そうな表情をし
「ま、確かにその通りやろ。―――――あんたが本当にルフィナ姉さんを再現しただけの存在ならな。」
ケビンは穏やかな目をして言った。
「………な…………」
「え………!?」
ケビンの言葉にルフィナとリースは驚き
「もう………あんたの正体はわかってる。半年前、”影の国
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