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火影の夜窓(ほかげのやそう)
第一章 色褪せぬ恋
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いつしか陽介も祐未の真剣で愛らしい姿に心を奪われていた。

そして納車の日、祐未との交際を
陽介が父に堂々と申し込んできたのだ。
父は以前から彼の人柄をとても気に入っていたから、
もちろんその申し出に大喜びだった。
ひょっとすると、父が裏で画策して
彼の背中をせっついたのかもしれない、と疑いもしたが、
祐未は素直に手の内に巻かれることにした。

翌週には早くも初デート。
彼は日本男性には珍しく、レディーファーストが身に付いていた。
車に乗るとき、助手席に素早く回ってドアを開け、
頭が枠に当たらないように手でガードしてくれた。
また、エレベーターに乗るときも
扉を手で押さえながら祐未を先に乗せ、
降りるときもまた、扉が閉じないように気をつけてくれた。
夕食の高級レストランでもリードは完璧だった。
椅子を引いて祐未を先に座らせ、
注文の際はしっかりと主導権を持って対応。
テーブルマナーも実にエレガントだった。
「今日は僕の誕生日なんです。」
「えっ、そうだったんですか? 
ごめんなさい、私、何もプレゼント用意してなくて…。」
「いいんですよ。今日こうして祐未さんが一緒に
食事してくれることが、
 僕にとっては何よりのプレゼントです。
 一生の思い出、宝物にします。ありがとう、祐未さん。」
そして退店の際、会計がいつの間にか
済まされていたのを知った時には、さすがに驚いた。
祐未が化粧室へ席を外している間に、
陽介がカードで済ませていたらしい。

駐車場の車の中で「さあ、これからどうしよう」となった。
「この辺に夜景の綺麗な場所ってありますかねぇ。」
祐未が言うと、陽介はしばらく考えて、
「うん、わかりました。じゃあ、高速に乗りましょうか。」
そう言って車を出した。
そこからは、祐未が思いもしなかった
『ときめき夜景ツアー』となった。
ライトアップされたスカイツリーや東京タワーが
車窓をゆっくり流れていくのを
「うわー!」と、うっとりしながら見つめる祐未。
「綺麗でしょ。時々、夜の高速をこうやってドライブするんです。
 今日は祐未さんを乗せてるから僕は運転に専念しますね。
 でも、祐未さんは夜景を存分に楽しんでくださいよ。」

車は都心の摩天楼を抜け、海沿いに出た。
晴海、レインボーブリッジ、若洲、東京ゲートブリッジと
夜景の名所を次々に通過し、城南島海浜公園に到着した。
浜へ下りると、空港の飛行機発着が間近に見えた。
公園の北にまわれば、先ほどのスカイツリーと東京タワーが
贅沢にも肩を並べている。
お台場、レインボーブリッジも、もれなく視界に入ってくる。
空には飛行機、海には客船…。
どこを見渡しても、幻想的な光に満ち溢れていた。
突然の振りにも、機
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