第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
六十話 百鬼夜荒 参
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い殺意が陽炎の如く揺らめいている。
勇義の言葉にルーミアはあからさまに不快だ、という表情を浮かべ、
「コイツと同じの扱いをされるのは甚だ不愉快極まりないんだけど……。
まぁあいわ…虚空、自分のやる事はきちんとしなさい……それとも代わる?」
ルーミアは周囲へと指を指しながら傍らの虚空にそう問いかけた。
彼等を囲む様に妖怪達が蠢き、ルーミアの傀儡達が世話し無く迎撃戦闘を繰り広げている。
「いや無理」
虚空は周りに視線を送る事も、思案する事も無くキッパリと言い放つ。
そもそもにおいて、この男は物事の割り切りがはっきりしている。
瞬間火力を使った短期襲撃戦闘ならこなすが、こういった広域戦闘での集団戦は余程の仕込みを施してなければ身を投じる事は無い。
端的に言ってしまえば、自分より状況に適した人物が居るのなら躊躇無く丸投げする―――そういう男だ。
もっとも得手不得手で相手を選んでいるだけであり、選んだ相手の対処の方が楽かどうかは別問題だが。
虚空の答えが分かりきっていたのかルーミアは、
「あぁそう、なら精々死なない様にしなさい」
「ハハハ…まぁ善処はするけど――――死んだ時は仕方が無い」
そう答える虚空にそれ以上言葉を重ねる事も無く、ルーミアは踵を返すとその場から離れて行く。
その場に残された二人は互いに視線を外す事無く暫し対峙し、僅かな時間沈黙が訪れるがその沈黙を破ったのは勇義だった。
「今の奴も天狗も何でアンタの命令なんかに従ってるのか理解に苦しむね」
勇義は瞳に宿る冷たさはそのままに虚空に対し侮蔑の言葉を叩き付けるが、当の本人は…
「別に命令はしてないよ?
大切な仲間にこんな無理無茶な事なんか命令する訳ないじゃないか、只端にお願いしただけだよ♪」
先程から変化の無い軽薄な笑みを浮かべたまま返答の弁を吐く。
その言葉に勇義の苛立ちは加速度的に高まり、その感情に呼応するかの如く烈氣と殺気が迸り周囲の大地と空気を否応無しに震わせる。
そして次の瞬間――――勇義は姿が掻き消えたと錯覚する程の加速で虚空へと肉薄し、上段から彼を叩き潰す勢いで拳を振り下ろす。
その一撃を虚空は後方へと飛び退く事で直撃を避けるが――――獲物を失った勇義の一撃は直下の黒泉に叩きつけられ、黒泉の一部は散々に飛散し、それだけでは止まらない威力は波紋の様に広がり、衝撃の波となって退避中の虚空を捉えるとついでとばかりに吹き飛ばした。
此処に至るまで散々見せつけられている勇義の異常な暴力に虚空は内心辟易していた。
正に先程ルーミ
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